……わかってないって。 まるで根本的なものを否定するような言い方に、少しだけムッとした。 「……ここに住んで割と長いので理解はしているつもりですよ……? 危ない場所には近づきませんし、タクシーで乗り合わせてうちの前まで帰って来るつもりですし」 「……それでもだ。それに、俺はここ(ニューヨーク)で、香田(こうだ)家のご両親から君を預かってる身でもあるから、危険因子は常に取り除いておきたい」 その瞬間、ガツンと頭を殴られたようなショックを受けた。