そのとき。 ウィンドの向こう側、オフィス前でタクシーを降りた男女がこちらに向かってくる。 「おっと……本人のゴトージョーね」 メアリーの言うとおり、スマートフォンを耳に当てて忙しそうにエントランスホールに入ってきたのは、三つ揃えスーツに身を包んだビジネス仕様の魅力的な隼人さんだ。 体にフィットした細身のスーツに一流ブランドの革靴。横に無造作に流れた髪は今日も私の胸をキュンと震わせる。 ――あぁ、今日も素敵。