「ローズ様、間もなくエクソシアの港に入るそうです」
間もなく昼になろうかという時間に、アイリーンの部屋に戻ってきたコパルが言った。
「そう。どれくらい停泊するの?」
今更、カルヴァドスに逢える筈もないのだが、アイリーンはコパルに問いかけた。
「水と食料などを積み込んだら、直ぐの出発だそうです。今にもエクソシアとパレマキリアの間で戦争が始まりそうだと聞きました」
コパルの「戦争」という言葉がアイリーンの胸に突き刺さった。
デロスをパレマキリアから救うため、ひいてはダリウス王子との婚姻からアイリーンを救うためにカルヴァドスが必死に動いてくれた結果、エクソシアがデロスの庇護者となるために起こす戦争だ。この戦が、エクソシアがデロスの庇護者として起こすものならば正義が通るが、カルヴァドスの意志が働き、ある意味、私欲によって引き起こされるものだと思うと、アイリーンは胸が苦しくてたまらなかった。
カルヴァドスの身も心配だったが、戦に巻き込まれ無辜の民の命が犠牲になることを思うと、カルヴァドスを止めるべきだったとアイリーンは思った。最初から、パレマキリアとデロスの事など話さなければ良かったと、どれほどカルヴァドスに心を動かされようとも、自分は婚約者を愛していると、そう言い張れば戦など起きなかったに違いないと思うと、自分の罪深さにアイリーンは食べ物も喉を通らなかった。
「コパル、お昼はいらないわ。だから、あなたはクルーの皆さんとゆっくりお食事をしていらっしゃい」
アイリーンは言うと、いかにも気分が悪いと言った様子で寝台に横になった。
長旅で船に慣れたアイリーンと、船に酔わない体質のコパルは、飛ぶような船旅にもかかわらず船酔いを起こさなかったが、ドクターの所にいるウィリアムも個室を貰っているカトリーヌも、しばらくの間は船酔いで二人ともドクターの所で休んでいた。
兄の見舞いに行きたいとは思うアイリーンだったが、ダリウス王子に嫁ぐと知ってからのウィリアムは、あの冷たかった態度が嘘のようで、『国は私が何とかする。そなたは、帰国する必要はない。エクソシアで船を降りろ』と顔を見る度に繰り返すので、結局アイリーンは見舞いにも行かずに部屋に籠るばかりだった。
夕方近くになり、船が減速し始め、アイリーンは港にはいるのだと察した。
やがて大海の北斗七星号はクーリエ船専用の桟橋に係留された。
間もなく昼になろうかという時間に、アイリーンの部屋に戻ってきたコパルが言った。
「そう。どれくらい停泊するの?」
今更、カルヴァドスに逢える筈もないのだが、アイリーンはコパルに問いかけた。
「水と食料などを積み込んだら、直ぐの出発だそうです。今にもエクソシアとパレマキリアの間で戦争が始まりそうだと聞きました」
コパルの「戦争」という言葉がアイリーンの胸に突き刺さった。
デロスをパレマキリアから救うため、ひいてはダリウス王子との婚姻からアイリーンを救うためにカルヴァドスが必死に動いてくれた結果、エクソシアがデロスの庇護者となるために起こす戦争だ。この戦が、エクソシアがデロスの庇護者として起こすものならば正義が通るが、カルヴァドスの意志が働き、ある意味、私欲によって引き起こされるものだと思うと、アイリーンは胸が苦しくてたまらなかった。
カルヴァドスの身も心配だったが、戦に巻き込まれ無辜の民の命が犠牲になることを思うと、カルヴァドスを止めるべきだったとアイリーンは思った。最初から、パレマキリアとデロスの事など話さなければ良かったと、どれほどカルヴァドスに心を動かされようとも、自分は婚約者を愛していると、そう言い張れば戦など起きなかったに違いないと思うと、自分の罪深さにアイリーンは食べ物も喉を通らなかった。
「コパル、お昼はいらないわ。だから、あなたはクルーの皆さんとゆっくりお食事をしていらっしゃい」
アイリーンは言うと、いかにも気分が悪いと言った様子で寝台に横になった。
長旅で船に慣れたアイリーンと、船に酔わない体質のコパルは、飛ぶような船旅にもかかわらず船酔いを起こさなかったが、ドクターの所にいるウィリアムも個室を貰っているカトリーヌも、しばらくの間は船酔いで二人ともドクターの所で休んでいた。
兄の見舞いに行きたいとは思うアイリーンだったが、ダリウス王子に嫁ぐと知ってからのウィリアムは、あの冷たかった態度が嘘のようで、『国は私が何とかする。そなたは、帰国する必要はない。エクソシアで船を降りろ』と顔を見る度に繰り返すので、結局アイリーンは見舞いにも行かずに部屋に籠るばかりだった。
夕方近くになり、船が減速し始め、アイリーンは港にはいるのだと察した。
やがて大海の北斗七星号はクーリエ船専用の桟橋に係留された。



