久しぶりに逢った叔母夫婦に、ろくな別れも言えぬままタリアレーナを離れたアイリーンは、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるコパルの話しを聞きながら、結局、兄が味を認めたと言うキッシュもクロワッサンも口にする事さえ出来なかっただけでなく、カタリの街でさえ、ろくすっぽ観光する事もないままタリアレーナを離れてしまったことを少し寂しく思った。
アイリーンにとっては、これが人生最長距離の旅で、これが最初で最後だと思うと、とても残念な気がした。
六ヶ国同盟に所属している国々は、年に一度、少なくとも二年に一度は聖地であるイエロス・トポスで会議を開く。そして、その際は皆伴侶を同伴すると教わったが、パレマキリアは同盟に加盟していないし、同盟に申し入れをするときに訪れるのは国境を接するエクソシア帝国になるし、当然、伴侶の同伴は不要だ。それに、あのダリウス王子がアイリーンのことを国どころか、城、いや、部屋からだって快く出してくれるとは思えなかった。
思い切りよく、カルヴァドスの事を忘れるために置いてきてしまったドレスやパラソル。せめてパラソルだけでも持ってくれば良かったと、今更ながらにアイリーンは後悔していた。
アイリーンとウィリアムを無事に送り届けるため、猛スピードで沖を進む大海の北斗七星号の甲板を吹き抜ける風はまさに突風で、アイリーンは何度か外に出てみようとしたものの、コパルに「いけません」と注意され、食事の時間と文字を教える時間にオスカーが迎えに来てくれる時以外、ずっと部屋の中で過ごすしかなかった。
しかし、一等航海士の部屋は、アイリーンにカルヴァドスのことを思い出させ、アイリーンはコパルに気付かれないように注意しながら、毎日のように涙していた。
小さなコパルは、アイリーンでさえ吹き飛ばされると言われる突風の中を体に重りを付け、コパルのためにクルーが取り付けてくれたロープに腰縄に付けたフックをかけ、ドクターの部屋にいるウィリアムの所へも顔を出していた。
アイリーンにとっては、これが人生最長距離の旅で、これが最初で最後だと思うと、とても残念な気がした。
六ヶ国同盟に所属している国々は、年に一度、少なくとも二年に一度は聖地であるイエロス・トポスで会議を開く。そして、その際は皆伴侶を同伴すると教わったが、パレマキリアは同盟に加盟していないし、同盟に申し入れをするときに訪れるのは国境を接するエクソシア帝国になるし、当然、伴侶の同伴は不要だ。それに、あのダリウス王子がアイリーンのことを国どころか、城、いや、部屋からだって快く出してくれるとは思えなかった。
思い切りよく、カルヴァドスの事を忘れるために置いてきてしまったドレスやパラソル。せめてパラソルだけでも持ってくれば良かったと、今更ながらにアイリーンは後悔していた。
アイリーンとウィリアムを無事に送り届けるため、猛スピードで沖を進む大海の北斗七星号の甲板を吹き抜ける風はまさに突風で、アイリーンは何度か外に出てみようとしたものの、コパルに「いけません」と注意され、食事の時間と文字を教える時間にオスカーが迎えに来てくれる時以外、ずっと部屋の中で過ごすしかなかった。
しかし、一等航海士の部屋は、アイリーンにカルヴァドスのことを思い出させ、アイリーンはコパルに気付かれないように注意しながら、毎日のように涙していた。
小さなコパルは、アイリーンでさえ吹き飛ばされると言われる突風の中を体に重りを付け、コパルのためにクルーが取り付けてくれたロープに腰縄に付けたフックをかけ、ドクターの部屋にいるウィリアムの所へも顔を出していた。



