お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!

「温かい茶を頼む」
 部屋に戻ったカルヴァンは、仕事を命じて侍従を下がらせた。
「それで報告は?」
「はい。ウィリアム王太子殿下を襲ったと思われるパレマキリアの刺客が侯爵邸の辺りを彷徨きましたので、侯爵がスパイ罪で男を拘束した後、殿下と姫は急遽、大海の北斗七星号に移動され、お供のページボーイとメイドが同行しているとのことでございます。それから、既に船はデロスに向かい出航したとの報告を受けております」
 アイリーンがデロスに向けて出発したと聞き、カルヴァンの心は乱れた。
「予定通り、エクソシアの港で最終補給を行うのか?」
「左様でございます」
 アイリーンがエクソシアに立ち寄ると聞き、カルヴァンの心は乱れた。今なら、偽りの姿ではなく、本当の身分を明かすことが出来るのだから。
「船を戻せ! アイリに、アイリに正式に結婚を申し込みにいく!」
 思わず取り乱したカルヴァンの腕をアンドレが掴んだ。
「殿下、今、身分を明かしたところでどうなるのです? 戦で勝利せねば、姫の運命は変えられないのですぞ」
 アンドレに言われ、カルヴァンはぐっと奥歯を噛みしめた。

(・・・・・・・・そうだ。俺が戦で勝利し、功績を上げなければ、父上はアイリを皇后にすると。今の俺がやらなくてはならないことは、戦で功をあげること。それなくして、アイリとの結婚は夢のまた夢だ・・・・・・・・)

「わかった。全速力で合流点に進め」
 絞り出すようにカルヴァン言うと、その身をカウチに投げ出した。

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