航海士を部屋に呼び、航路を確認していたカルヴァンは、一足先にパレマキリアに向けて出征した軍に追いつくため、帝都を通り越した先の港まで船で向かいパレマキリア国境で陸軍に合流し、一気にパレマキリアに攻め込むべきだと判断した。
航路を決め、合流地点と日にちを確認すると、全ての情報は鳩と鷹の二種類の方法で国へと伝えられた。
戦の将なので、ドーンと将らしく陣の中心で座って指示を出すか、馬に乗って後ろから遠目で戦の様子を見ていればいいと言われれば、そうなのかも知れないが、何としてもダリウス王子にアイリーンを諦めさせるため、自ら動かなくてはいけないと、カルヴァンは気が急いて仕方がなかった。
長年船に乗って居たので、海賊に出遭わす事もあり、船での戦いに参戦したことはあった。船での戦いと言っても大砲を積んでいるわけでもないクーリエ船とそれなりに武装している海賊船との戦いは、結局は肉弾戦だ。互いに相手の船に乗り込んで剣で闘うしかない。そういう意味では、陸軍との闘いに共通するものはあるが、それでも限られた船の上で闘うのと、広い荒野や森林などで闘うのでは大きく異なる。
看板に上がり、はるか遠くタリアレーナの方に視線を向けながら考えると、手は自然と腰のサーベルに触れていた。
「カルヴァン殿下?」
海軍の制服をしっかりと着込んだアンドレが、考え込むカルヴァンに声をかけた。
「どうした、少将」
「いえ。殿下の、お顔の色が優れない気がいたしまして」
長年、皇太子であるカルヴァンを見守ってきたアンドレには、何もかもお見通しのようだった。
「気にするな。お前も慣れぬ陸上での戦いだ。ゆっくり体を休めて軍への合流に備えよ」
カルヴァンが皇太子らしく命じると、アンドレは深々と頭を下げた。
「お心遣い、誠にありがとうございます。ですが、殿下もそろそろお部屋に戻られた方が宜しいかと。前方の雲が暗くなっております故、雨が降るやもしれませぬ。御身にもしもの事があっては、このアンドレ、皇帝陛下に申し開きのしようもございません」
「分かった。案ずるな、すぐに部屋に戻る。お前の天気予報は当たるからな。・・・・・・ところで、何か連絡はあったか?」
当然の事ながら、アイリーンの側に護衛で残した二人は、アイリーンが大海の北斗七星号に戻ってからは定期的に状況を報告してくることになっていたが、未だにカルヴァンの耳に入るほどの目覚ましい報告はないように見えた。
「その件は、お部屋で・・・・・・」
アンドレはカルヴァンの耳元で囁いた。
「分かった」
カルヴァンは風を切るように身を翻すと、早足で階段を下り自室に戻った。
航路を決め、合流地点と日にちを確認すると、全ての情報は鳩と鷹の二種類の方法で国へと伝えられた。
戦の将なので、ドーンと将らしく陣の中心で座って指示を出すか、馬に乗って後ろから遠目で戦の様子を見ていればいいと言われれば、そうなのかも知れないが、何としてもダリウス王子にアイリーンを諦めさせるため、自ら動かなくてはいけないと、カルヴァンは気が急いて仕方がなかった。
長年船に乗って居たので、海賊に出遭わす事もあり、船での戦いに参戦したことはあった。船での戦いと言っても大砲を積んでいるわけでもないクーリエ船とそれなりに武装している海賊船との戦いは、結局は肉弾戦だ。互いに相手の船に乗り込んで剣で闘うしかない。そういう意味では、陸軍との闘いに共通するものはあるが、それでも限られた船の上で闘うのと、広い荒野や森林などで闘うのでは大きく異なる。
看板に上がり、はるか遠くタリアレーナの方に視線を向けながら考えると、手は自然と腰のサーベルに触れていた。
「カルヴァン殿下?」
海軍の制服をしっかりと着込んだアンドレが、考え込むカルヴァンに声をかけた。
「どうした、少将」
「いえ。殿下の、お顔の色が優れない気がいたしまして」
長年、皇太子であるカルヴァンを見守ってきたアンドレには、何もかもお見通しのようだった。
「気にするな。お前も慣れぬ陸上での戦いだ。ゆっくり体を休めて軍への合流に備えよ」
カルヴァンが皇太子らしく命じると、アンドレは深々と頭を下げた。
「お心遣い、誠にありがとうございます。ですが、殿下もそろそろお部屋に戻られた方が宜しいかと。前方の雲が暗くなっております故、雨が降るやもしれませぬ。御身にもしもの事があっては、このアンドレ、皇帝陛下に申し開きのしようもございません」
「分かった。案ずるな、すぐに部屋に戻る。お前の天気予報は当たるからな。・・・・・・ところで、何か連絡はあったか?」
当然の事ながら、アイリーンの側に護衛で残した二人は、アイリーンが大海の北斗七星号に戻ってからは定期的に状況を報告してくることになっていたが、未だにカルヴァンの耳に入るほどの目覚ましい報告はないように見えた。
「その件は、お部屋で・・・・・・」
アンドレはカルヴァンの耳元で囁いた。
「分かった」
カルヴァンは風を切るように身を翻すと、早足で階段を下り自室に戻った。



