「そうですか」
ウィリアムは残念そうに俯いた。
「カルヴァドスは、随分前からデロスの姫巫女に恋い焦がれておりましてね、妹さんを助ける気になったのも、最初は姫巫女に似ていらっしゃるからだったようですが、そのうちに本気になったようでした」
「えっ? デロスの姫巫女に恋を?」
思わず、驚いたウィリアムが声を上げた。
(・・・・・・・・似てるも何も、本人じゃないか。それなのに、アイリは身分を隠したままにしていたのか? 自分がダリウス王子に嫁ぐ約束をしていたから、相手の本当の名前も訊かずに、公爵だと言われたのに、すべて諦めたのか?・・・・・・・・)
「ええ。もう、かれこれ十年近く前から、デロスの海の女神の祭典の時は必ずデロスに寄港して、遠くの神殿で祈りを捧げる姫巫女の姿を見ては、いつか必ず結婚を申し込むんだと言っておりました。私は彼が公爵だと知っておりましたから不思議にも思いませんでしたが、クルー達は皆、夢物語だと笑って聞いておりましたよ」
ドクターは懐かしそうに言った。
「妹とのことは、本気ではなかったのでしょうか?」
ウィリアムは、思い切って問いを口にした。
「そうではありませんよ。船を降りたのは、伯爵家のご令嬢にプロポーズするには、やはり家に戻らなくてはならないからだと言っておりましたから、本気だったと思いますが。どちらかというと私の目にも、妹さんの方が否定的で、婚約者が居ると彼から相談を受けた事はございましたよ」
ドクターの言葉に、ウィリアムはアイリーンを無言で責め続けたことを更に深く後悔した。まさか、ダリウス王子に嫁ぐ約束をさせられていたなどと考えても居なかったから、自由気ままな船旅で、火遊びのような恋をしたのではとウィリアムは思ってしまったのだった。しかし、そう考えてしまった根底には、自分が意図せずカトリーヌと深い関係になってしまったことがあるのかもしれないと、ウィリアムはいまさらながらに、冷静になってみると思うのだった。
「そうでしたか。国に帰って、父に確認致します。自分は、三年近く国を離れていたので、妹の結婚問題の事情がよく分からないもので・・・・・・。でも妹が、その公爵を想っているのであれば、それが成るように手助けをしてやりたいとは思っています」
ウィリアムは自分の想いを吐露した。
☆☆☆
ウィリアムは残念そうに俯いた。
「カルヴァドスは、随分前からデロスの姫巫女に恋い焦がれておりましてね、妹さんを助ける気になったのも、最初は姫巫女に似ていらっしゃるからだったようですが、そのうちに本気になったようでした」
「えっ? デロスの姫巫女に恋を?」
思わず、驚いたウィリアムが声を上げた。
(・・・・・・・・似てるも何も、本人じゃないか。それなのに、アイリは身分を隠したままにしていたのか? 自分がダリウス王子に嫁ぐ約束をしていたから、相手の本当の名前も訊かずに、公爵だと言われたのに、すべて諦めたのか?・・・・・・・・)
「ええ。もう、かれこれ十年近く前から、デロスの海の女神の祭典の時は必ずデロスに寄港して、遠くの神殿で祈りを捧げる姫巫女の姿を見ては、いつか必ず結婚を申し込むんだと言っておりました。私は彼が公爵だと知っておりましたから不思議にも思いませんでしたが、クルー達は皆、夢物語だと笑って聞いておりましたよ」
ドクターは懐かしそうに言った。
「妹とのことは、本気ではなかったのでしょうか?」
ウィリアムは、思い切って問いを口にした。
「そうではありませんよ。船を降りたのは、伯爵家のご令嬢にプロポーズするには、やはり家に戻らなくてはならないからだと言っておりましたから、本気だったと思いますが。どちらかというと私の目にも、妹さんの方が否定的で、婚約者が居ると彼から相談を受けた事はございましたよ」
ドクターの言葉に、ウィリアムはアイリーンを無言で責め続けたことを更に深く後悔した。まさか、ダリウス王子に嫁ぐ約束をさせられていたなどと考えても居なかったから、自由気ままな船旅で、火遊びのような恋をしたのではとウィリアムは思ってしまったのだった。しかし、そう考えてしまった根底には、自分が意図せずカトリーヌと深い関係になってしまったことがあるのかもしれないと、ウィリアムはいまさらながらに、冷静になってみると思うのだった。
「そうでしたか。国に帰って、父に確認致します。自分は、三年近く国を離れていたので、妹の結婚問題の事情がよく分からないもので・・・・・・。でも妹が、その公爵を想っているのであれば、それが成るように手助けをしてやりたいとは思っています」
ウィリアムは自分の想いを吐露した。
☆☆☆



