港にたどり着いたカルヴァドスは、アイリーンに拒絶されたことよりも、アイリーンの決心が堅く、もう完全にダリウス王子に輿入れすることに心が固まって居ることが気になって仕方がなかった。
「殿下?」
アンドレに声をかけられ、船の前で立ち止まっていたカルヴァドスは、無言で頷くと船に乗り込んだ。
港に戻り、船に乗った今、カルヴァドスは、もう気軽な船乗りでも、大海の北斗七星号の一等航海士でもない。六ヶ国同盟内でも一、二を誇る軍事力を保持するエクソシア帝国の皇太子カルヴァンなのだ。
「直ちに船を出せ。すぐに着替えをして、髪の毛を元に戻すから」
カルヴァンが言うと、アンドレは直ぐに船長に命令を伝えに言った。
大海の北斗七星を先導するように高速でタリアレーナを目指してきたこの船は皇帝の私物であり、皇帝自身、もしくはその一族が移動する時にしか使われない船だが、その事を知っている者は、幸いにも大海の北斗七星号ではドクターだけだった。
大きさ的には大海の北斗七星号よりかなり小さいが、甲板の下には豪華な居室か幾つかと、仕える召使い達がひしめいていた。
ちょうど船首下に整えられた居室で、カルヴァンに戻るため、カルヴァドスは髪をオレンジから黒に戻した。そして、着古したコットンのシャツをシルクのシャツに着替え、くたびれたコットンのトラウザーを脱ぎ、シルクのトラウザーに履き替え、藍色に金糸の縁取りと鮮やかな色とりどりの刺繍がされた上着に袖を通しクラヴァットを結んだ。
これから先、もう二度とカルヴァンがカルヴァドス・カスケイドスに戻ることはないし、戻ることは許されない。ここにいるのは正体不明の一等航海士カルヴァドスではなく、エクソシア帝国の皇太子、カルヴァン・クレイル・カーライル・アルド・イスヒロスなのだ。濡れた髪の毛からオレンジ色の染料を含んだ水滴が落ち、髪の毛の色が黒々とした、本来の色に戻って行くように、この世からカルヴァドス・カスケイドスの存在が静かに消えてなくなっていった。
「殿下?」
アンドレに声をかけられ、船の前で立ち止まっていたカルヴァドスは、無言で頷くと船に乗り込んだ。
港に戻り、船に乗った今、カルヴァドスは、もう気軽な船乗りでも、大海の北斗七星号の一等航海士でもない。六ヶ国同盟内でも一、二を誇る軍事力を保持するエクソシア帝国の皇太子カルヴァンなのだ。
「直ちに船を出せ。すぐに着替えをして、髪の毛を元に戻すから」
カルヴァンが言うと、アンドレは直ぐに船長に命令を伝えに言った。
大海の北斗七星を先導するように高速でタリアレーナを目指してきたこの船は皇帝の私物であり、皇帝自身、もしくはその一族が移動する時にしか使われない船だが、その事を知っている者は、幸いにも大海の北斗七星号ではドクターだけだった。
大きさ的には大海の北斗七星号よりかなり小さいが、甲板の下には豪華な居室か幾つかと、仕える召使い達がひしめいていた。
ちょうど船首下に整えられた居室で、カルヴァンに戻るため、カルヴァドスは髪をオレンジから黒に戻した。そして、着古したコットンのシャツをシルクのシャツに着替え、くたびれたコットンのトラウザーを脱ぎ、シルクのトラウザーに履き替え、藍色に金糸の縁取りと鮮やかな色とりどりの刺繍がされた上着に袖を通しクラヴァットを結んだ。
これから先、もう二度とカルヴァンがカルヴァドス・カスケイドスに戻ることはないし、戻ることは許されない。ここにいるのは正体不明の一等航海士カルヴァドスではなく、エクソシア帝国の皇太子、カルヴァン・クレイル・カーライル・アルド・イスヒロスなのだ。濡れた髪の毛からオレンジ色の染料を含んだ水滴が落ち、髪の毛の色が黒々とした、本来の色に戻って行くように、この世からカルヴァドス・カスケイドスの存在が静かに消えてなくなっていった。



