ココアが冷たくなるまで、アイリーンは仲の良かったころのウィリアムとアルフレッド、ローズマリーと四人で過ごした楽しい時間のことを思い出した。
(・・・・・・・・フレドの恋人がローズだと分かれば、お兄様とフレドの関係も壊れてしまうかもしれない。お兄様は、お父様が望まれたとおり、私を国内の貴族に降嫁させるという王室の意思を示す意味も込めて、私の婚約者にフレドを推薦し、お父様もフレドならばと婚約を許したのに・・・・・・・・)
アイリーンは大きなため息をつくと、冷えたココアを一気に飲み干し、着替えてベッドに入った。
夜の冷え込みで寒さが強くなった部屋のシルクのシーツは冷たく、アイリーンは人恋しく感じる自分をふしだらだと心の中で罵った。
しかし、よく考えればアイリーンにも分かった筈なのだ。デロスは一年を通して温かい国で、よほどの異常気象でもない限り、寝室で寒さを感じるようなことはなかったし、そういう非常事態の時は、大抵、アイリーンのそばにはアイゼンハイムかラフカディオが寄り添い、アイリーンを温めてくれた。たがら、アイリーンがぬくもりを恋しく感じるのは、カルヴァドスのせいだけではなかったのだが、心の冷え切ったアイリーンには、そこまで考えが至らなかった。
布団の中はなかなか温まらず、こぼれる涙で枕を濡らしながら、アイリーンは朝方まで震える体を抱きしめ、声を殺して泣き続けた。
(・・・・・・・・フレドの恋人がローズだと分かれば、お兄様とフレドの関係も壊れてしまうかもしれない。お兄様は、お父様が望まれたとおり、私を国内の貴族に降嫁させるという王室の意思を示す意味も込めて、私の婚約者にフレドを推薦し、お父様もフレドならばと婚約を許したのに・・・・・・・・)
アイリーンは大きなため息をつくと、冷えたココアを一気に飲み干し、着替えてベッドに入った。
夜の冷え込みで寒さが強くなった部屋のシルクのシーツは冷たく、アイリーンは人恋しく感じる自分をふしだらだと心の中で罵った。
しかし、よく考えればアイリーンにも分かった筈なのだ。デロスは一年を通して温かい国で、よほどの異常気象でもない限り、寝室で寒さを感じるようなことはなかったし、そういう非常事態の時は、大抵、アイリーンのそばにはアイゼンハイムかラフカディオが寄り添い、アイリーンを温めてくれた。たがら、アイリーンがぬくもりを恋しく感じるのは、カルヴァドスのせいだけではなかったのだが、心の冷え切ったアイリーンには、そこまで考えが至らなかった。
布団の中はなかなか温まらず、こぼれる涙で枕を濡らしながら、アイリーンは朝方まで震える体を抱きしめ、声を殺して泣き続けた。



