婚約して二年、口付け一つ許さない相手に恋愛感情を持てなかったのはアルフレッドも同じだったのだろうと、やっと、ウィリアムは納得した。二年もあれば、少しはアイリーンも大人になり、アルフレッドとの間にそれなりの関係が生まれてくれればと思っていただけに、ウィリアムは落胆した。
「それであれば、仕方あるまいな」
やっと納得したウィリアムに、アイリーンは父王が倒れ、一人三役をこなしているところへパレマキリアが数年ぶりに侵攻を始め、今回はかなり本格的なもので、港を塞がないまでも、入港する船舶を威圧するように軍艦を展開したことを説明した。
「なんと言うことだ。私が怪我をして動けなかったばかりに、そなたには苦労をかけた」
ウィリアムは頭ごなしにアイリーンを叱ったことを少し後悔しながら言った。
「それで、いまは?」
「先日、ローズより手紙が届き、パレマキリアが軍を退き今では平和に戻っているだけでなく、お父様のお加減も良くなり、朝議にも顔を出すようになられたとのことでした」
アイリーンの説明に、ウィリアムはホッと息をついた。
「そうか、今回も、また迷惑な軍事演習だったというわけか」
「ええ、そのようでございます」
アイリーンは国に帰るまで、真実をウィリアムに話す気がなかったので、サラリと流した。
「それで、そなたはどうやって国を出てきたのだ?」
「フレドとの婚約を解消するため、半年間、神殿に籠もる事にして、すべての決裁権はお父様が不在の時には伯父様に、お預けして参りました」
アイリーンの説明に、ウィリアムは頷いた。
「伯父上ならば、心配はないな。しかし、半年とはよく考え付いたものだ」
「帰国の船の手配も終わっておりますから、お兄様は、まず、体力を付けて、早く傷を治し、お元気になられてください。お兄様のヴァイオリンを是非、聞かせていただきたいです」
『嫁ぐ前に』と、アイリーンは心の中で呟いた。
いくらパレマキリアが隣国とは言え、人質同然に嫁ぐアイリーンにダリウス王子が帰省を許すとは思えなかった。
「それであれば、仕方あるまいな」
やっと納得したウィリアムに、アイリーンは父王が倒れ、一人三役をこなしているところへパレマキリアが数年ぶりに侵攻を始め、今回はかなり本格的なもので、港を塞がないまでも、入港する船舶を威圧するように軍艦を展開したことを説明した。
「なんと言うことだ。私が怪我をして動けなかったばかりに、そなたには苦労をかけた」
ウィリアムは頭ごなしにアイリーンを叱ったことを少し後悔しながら言った。
「それで、いまは?」
「先日、ローズより手紙が届き、パレマキリアが軍を退き今では平和に戻っているだけでなく、お父様のお加減も良くなり、朝議にも顔を出すようになられたとのことでした」
アイリーンの説明に、ウィリアムはホッと息をついた。
「そうか、今回も、また迷惑な軍事演習だったというわけか」
「ええ、そのようでございます」
アイリーンは国に帰るまで、真実をウィリアムに話す気がなかったので、サラリと流した。
「それで、そなたはどうやって国を出てきたのだ?」
「フレドとの婚約を解消するため、半年間、神殿に籠もる事にして、すべての決裁権はお父様が不在の時には伯父様に、お預けして参りました」
アイリーンの説明に、ウィリアムは頷いた。
「伯父上ならば、心配はないな。しかし、半年とはよく考え付いたものだ」
「帰国の船の手配も終わっておりますから、お兄様は、まず、体力を付けて、早く傷を治し、お元気になられてください。お兄様のヴァイオリンを是非、聞かせていただきたいです」
『嫁ぐ前に』と、アイリーンは心の中で呟いた。
いくらパレマキリアが隣国とは言え、人質同然に嫁ぐアイリーンにダリウス王子が帰省を許すとは思えなかった。



