「どういうつもりだ! そなたは私の不在の間、王太子代理として、政を行うと約束したではないか!」
怒られるようなことをしている自覚はアイリーンにもあるので、大人しく怒られるしかないことは納得していた。
「フレドは止めなかったのか?」
ウィリアムにしてみれば、当然の疑問だった。
「フレドは、私のために貯めていた結婚資金を旅費として都合してくれました」
「結婚資金だと?」
ウィリアムの声が驚きで裏がえった。
アイリーンは王家から降嫁するので、結婚に関わる費用は言わば王家持ち。アルフレッドにはお金を用意する必要など全くない。そして、降嫁するアイリーンには、それなりのまとまった持参金がつく。それを考えると、なぜアルフレッドが結婚資金を用意していたのかと言うのは大きな疑問であり、それは言い換えれば、アイリーン以外の誰か別の女性と結婚するつもりだったという意味になる。
「はい、フレドとの婚約は解消することになりました」
「なんだと! 私に何の相談もなく? 父上はお許しになられたのか? それとも、まさか、それも父上に内緒のことか?」
ウィリアムの怒りに、アイリーンは話す順番を間違えたなとつくづく後悔した。
「お父様には、ちゃんと報告致しました」
「報告? つまり、事後承諾と言うことか? そんなこと、私が許さない!」
ウィリアムは言うと、アイリーンを見つめた。
「何があった、そなたはお転婆ではあったか、この様な無謀なことをする程、愚かではなかったはず」
「フレドに、他に好きな女性が出来たのです。ですから、私は身を引くことにいたしました」
アイリーンは正直に角が立たないように事実を伝えたつもりだったが、ウィリアムには『アルフレッドが不貞を働いたので婚約を解消することになった』と聞こえていた。
「あのフレドが、他に女を作ったというのか? そなたという婚約者が居るにも関わらず?」
「お兄様、私とフレドの婚約は、あくまでも、お兄様が不在の間のめくらましと、お兄様も仰ったではございませんか。ですから、不貞などではございません」
アイリーンは必死にアルフレッドを弁護した。
「しかし、二年も婚約していたのだ、その、二人の間には、それなりの関係があつたのではないのか?」
ウィリアムは心配げに問いかけた。
「その事でしたら、手を握って、ダンスを踊っただけでございます」
「なに? 口付けの一つもしてないと言うのか?」
「はい。どうしても、フレドはお兄様のように見えてしまい、私には、フレドを殿方として見ることが出来なかったのです」
「そういうことか・・・・・・」
ウィリアムはため息をつくと頭を抱えた。
怒られるようなことをしている自覚はアイリーンにもあるので、大人しく怒られるしかないことは納得していた。
「フレドは止めなかったのか?」
ウィリアムにしてみれば、当然の疑問だった。
「フレドは、私のために貯めていた結婚資金を旅費として都合してくれました」
「結婚資金だと?」
ウィリアムの声が驚きで裏がえった。
アイリーンは王家から降嫁するので、結婚に関わる費用は言わば王家持ち。アルフレッドにはお金を用意する必要など全くない。そして、降嫁するアイリーンには、それなりのまとまった持参金がつく。それを考えると、なぜアルフレッドが結婚資金を用意していたのかと言うのは大きな疑問であり、それは言い換えれば、アイリーン以外の誰か別の女性と結婚するつもりだったという意味になる。
「はい、フレドとの婚約は解消することになりました」
「なんだと! 私に何の相談もなく? 父上はお許しになられたのか? それとも、まさか、それも父上に内緒のことか?」
ウィリアムの怒りに、アイリーンは話す順番を間違えたなとつくづく後悔した。
「お父様には、ちゃんと報告致しました」
「報告? つまり、事後承諾と言うことか? そんなこと、私が許さない!」
ウィリアムは言うと、アイリーンを見つめた。
「何があった、そなたはお転婆ではあったか、この様な無謀なことをする程、愚かではなかったはず」
「フレドに、他に好きな女性が出来たのです。ですから、私は身を引くことにいたしました」
アイリーンは正直に角が立たないように事実を伝えたつもりだったが、ウィリアムには『アルフレッドが不貞を働いたので婚約を解消することになった』と聞こえていた。
「あのフレドが、他に女を作ったというのか? そなたという婚約者が居るにも関わらず?」
「お兄様、私とフレドの婚約は、あくまでも、お兄様が不在の間のめくらましと、お兄様も仰ったではございませんか。ですから、不貞などではございません」
アイリーンは必死にアルフレッドを弁護した。
「しかし、二年も婚約していたのだ、その、二人の間には、それなりの関係があつたのではないのか?」
ウィリアムは心配げに問いかけた。
「その事でしたら、手を握って、ダンスを踊っただけでございます」
「なに? 口付けの一つもしてないと言うのか?」
「はい。どうしても、フレドはお兄様のように見えてしまい、私には、フレドを殿方として見ることが出来なかったのです」
「そういうことか・・・・・・」
ウィリアムはため息をつくと頭を抱えた。



