お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!

 ブランデーを楽しむロバートにつきあい、キャスリーンはシェリーを楽しんだが、アイリーンはオレンジジュースを頼んだ。
「もう成人してるのに、オレンジジュースとは、驚きだね」
 あくまでも、叔父と姪なので、ロバートは気安い調子で言った。
「お酒は、余り強くないので、デロスでは、飲む暇もないくらい忙しかったですし」
 本当は、ワインを飲めばカルヴァドスを思い出してしまうから、オレンジジュースにしたアイリーンだった。
「それで、どうやってウィリアムを国へ連れて帰るつもりなんだい?」
 ロバートの問いに、アイリーンはニッコリと笑顔を浮かべた。
「私をここまで乗せてくださったエクソシアのクーリエ船が、私とお兄様をデロスまで乗せてくれることになっております」
 アイリーンの答えに、ロバートは少し心配そうに問いかけた。
「まさか、身元が知れているということはないのだろうね?」
「それは、大丈夫です。私は、王宮勤めのメイドだったと説明してあります。そして、愛しい殿方を探して連れ帰るためにタリアレーナに旅をしていると、そう説明してあります」
 アイリーンが言うと、ロバートは笑みを浮かべた。
「確かに、アイリーンにとって一番愛しい殿方といったら、婚約を解消した今、ウィリアムか陛下だけと言うことになるのだろうね」
 ロバートの言葉を聞きながら、アイリーンの心が『愛しいのはカルヴァドスさんただ一人』と叫んでいた。
「とにかく、部屋もきちんと整えてある。今日はゆっくり休みなさい。明日には、殿下からもお話を伺いたいと思っているから、その様にアイリーンから伝えておいて貰えると嬉しいよ」
「かしこまりました、叔父様」
 アイリーンは笑顔で答えると、オレンジジュースを飲み干し、叔父と叔母にお休みの挨拶をして自分の部屋へと下がった。

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