コパルからの手紙を受け取ったキャスリーンは、大急ぎでウィリアムとアイリーンを迎えに行く準備を始めた。
手紙には、怪我をしていると書かれていたので、その道の権威である医師も数人手配し、長い間使われていなかったウィリアムのベッドのシーツを換え、隣の客室に世話するというカトリーヌという女性が泊まる準備も整えた。
それにしても、アイリーンが訪れ、コパルと二人でほんの十日もたたずに見つけたウィリアムの所在を三ヶ月かけても見つけられなかった探偵社の者達も呼びつけると、全員に契約の終了を申し渡した。
いつもより早く帰宅した、シュナイダー侯爵は、屋敷の大騒ぎに目を剥いてキャスリーンを書斎に呼んだ。
キャスリーンは、甥のジョージが見つかったこと、コパルとアイリーンから預かったメイドのローズが二人で見つけたのだが、ジョージは怪我をしており、まだ、因縁をつけてきた連中があたりを見張っているので、日暮れとともに迎えに行くこと、怪我のために医師が必要なことを説明した。
「キャスリーン、アイリーン殿下は随分お姉様似になったようだね。まるで、生き写しのようだ」
ロバートは、何気ない口調でキャスリーンに話しかけた。
「ええ、そうですの。私もびっくりしてしまいましたわ。陛下とお目にかかった頃の・・・・・・」
そこまで言ったキャスリーンは、ドキリとして言葉を飲み込んだ。
「キャスリーン、メイドのフリをして訪ねてきたのがアイリーン殿下と言うことは、まさかとは思ったが、我が家でアシュトン伯爵家のジョージとして預かっていたのは、本当はウィリアム王太子殿下だったのだね?」
ロバートの問いに、キャスリーンは素直に頷いた。
「心臓の悪い陛下のことを考え、早くに王位継承を考えていらした殿下は、三年だけ、愛する音楽の道に進みたいとおっしゃって。ただ、パレマキリアとの確執がございますから、エイゼンシュタインから来た、アシュトン伯爵家のジョージと言うことで過ごしたいと。万が一にも、デロスの王太子がタリアレーナに留学しているなどとパレマキリアに知れれば、刺客を送られることは間違いないだろうと。このことに関しましては、国王陛下より手ずからのお手紙を戴きましたので、旦那様にも秘密にさせていただきました」
キャスリーンの言葉に、ロバートは頭を横に振った。
「見つかったから良かったものの、万が一にも殿下がタリアレーナで行方不明などと言うことが六ヶ国同盟に知れたら、どれほどの国際問題になったか考えたことがあるかね? そして、外務大臣である私の立場のことも・・・・・・」
「誠に申し訳ございません」
キャスリーンは素直に謝った。
「とにかく、殿下の奪還に失敗は許されない。私は軍務大臣に頼み、殿下の警護をお願いしよう」
ロバートの言葉に、キャスリーンが慌てて頭を横に振った。
「ロバート、それは困ります。殿下から、可能な限りシュナイダー侯爵邸の人間以外、誰にも姿を見られないように帰宅したいと。もし、軍や警護が動けば、自分がウィリアム王太子であることをパレマキリアからの諜報員に証明するようなものでございます」
キャスリーンに言われ、ロバートは頭を押さえながら頷いた。
「わかった。私は、大人しく屋敷で待とう。指揮はキャスリーン、おまえが取りなさい。だが、間違いない確実な方法を伝授しよう」
ロバートはキャスリーンの耳元で計画の詳細を説明すると、無言で退出するように合図した。キャスリーンはロバートの指示に顔を曇らせながら、書斎を後にした。
「なんてことだ。デロスを巡ってエクソシアとパレマキリアが戦争を始めようとしている時に、デロスの王位継承者が二人もタリアレーナにいるとは。これでは、戦争を見越して、タリアレーナが万が一の時に二人が亡命できるように匿っているようではないか」
ロバートは呻くように呟くと、しばらく沈思した。
☆☆☆
手紙には、怪我をしていると書かれていたので、その道の権威である医師も数人手配し、長い間使われていなかったウィリアムのベッドのシーツを換え、隣の客室に世話するというカトリーヌという女性が泊まる準備も整えた。
それにしても、アイリーンが訪れ、コパルと二人でほんの十日もたたずに見つけたウィリアムの所在を三ヶ月かけても見つけられなかった探偵社の者達も呼びつけると、全員に契約の終了を申し渡した。
いつもより早く帰宅した、シュナイダー侯爵は、屋敷の大騒ぎに目を剥いてキャスリーンを書斎に呼んだ。
キャスリーンは、甥のジョージが見つかったこと、コパルとアイリーンから預かったメイドのローズが二人で見つけたのだが、ジョージは怪我をしており、まだ、因縁をつけてきた連中があたりを見張っているので、日暮れとともに迎えに行くこと、怪我のために医師が必要なことを説明した。
「キャスリーン、アイリーン殿下は随分お姉様似になったようだね。まるで、生き写しのようだ」
ロバートは、何気ない口調でキャスリーンに話しかけた。
「ええ、そうですの。私もびっくりしてしまいましたわ。陛下とお目にかかった頃の・・・・・・」
そこまで言ったキャスリーンは、ドキリとして言葉を飲み込んだ。
「キャスリーン、メイドのフリをして訪ねてきたのがアイリーン殿下と言うことは、まさかとは思ったが、我が家でアシュトン伯爵家のジョージとして預かっていたのは、本当はウィリアム王太子殿下だったのだね?」
ロバートの問いに、キャスリーンは素直に頷いた。
「心臓の悪い陛下のことを考え、早くに王位継承を考えていらした殿下は、三年だけ、愛する音楽の道に進みたいとおっしゃって。ただ、パレマキリアとの確執がございますから、エイゼンシュタインから来た、アシュトン伯爵家のジョージと言うことで過ごしたいと。万が一にも、デロスの王太子がタリアレーナに留学しているなどとパレマキリアに知れれば、刺客を送られることは間違いないだろうと。このことに関しましては、国王陛下より手ずからのお手紙を戴きましたので、旦那様にも秘密にさせていただきました」
キャスリーンの言葉に、ロバートは頭を横に振った。
「見つかったから良かったものの、万が一にも殿下がタリアレーナで行方不明などと言うことが六ヶ国同盟に知れたら、どれほどの国際問題になったか考えたことがあるかね? そして、外務大臣である私の立場のことも・・・・・・」
「誠に申し訳ございません」
キャスリーンは素直に謝った。
「とにかく、殿下の奪還に失敗は許されない。私は軍務大臣に頼み、殿下の警護をお願いしよう」
ロバートの言葉に、キャスリーンが慌てて頭を横に振った。
「ロバート、それは困ります。殿下から、可能な限りシュナイダー侯爵邸の人間以外、誰にも姿を見られないように帰宅したいと。もし、軍や警護が動けば、自分がウィリアム王太子であることをパレマキリアからの諜報員に証明するようなものでございます」
キャスリーンに言われ、ロバートは頭を押さえながら頷いた。
「わかった。私は、大人しく屋敷で待とう。指揮はキャスリーン、おまえが取りなさい。だが、間違いない確実な方法を伝授しよう」
ロバートはキャスリーンの耳元で計画の詳細を説明すると、無言で退出するように合図した。キャスリーンはロバートの指示に顔を曇らせながら、書斎を後にした。
「なんてことだ。デロスを巡ってエクソシアとパレマキリアが戦争を始めようとしている時に、デロスの王位継承者が二人もタリアレーナにいるとは。これでは、戦争を見越して、タリアレーナが万が一の時に二人が亡命できるように匿っているようではないか」
ロバートは呻くように呟くと、しばらく沈思した。
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