お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!

「国の様子は、如何なのですか?」
 不安げにキャスリーンが問いかけた。
「すべて順調です。お父様のお加減もかなり良くなられたようですし、ダリウス殿下も大人しくされているようです」
 アイリーンは言いながら、神殿にいる間は手紙を読まないと、長年言い続けた結果がやっと実を結んだのだと思った。
「それならば良いのですが・・・・・・」
 話を聞いたキャスリーンの複雑な心境は声音に現われていた。
「叔母様、何があっても叔父様にはご迷惑はおかけしません。何とか、一刻も早くお兄様を見つけて国に帰ります」
 アイリーンは王女らしく言った。
「かしこまりました」
 キャスリーンは臣下の礼を取った。
「叔母様、この部屋には鍵のかかる抽斗がありません。どうか、このローズからの手紙は叔母様が預かって下さいませ」
 アイリーンは言うと、二房の毛だけを手に、手紙をキャスリーンに預けた。
「確かに、お預かりいたします」
 キャスリーンは答えると、一礼して部屋を出ていった。
 久しぶりに感じるアイゼンハイムとラフカディオの毛に、イヤイヤハサミで毛を切らせたであろう二人の姿がアイリーンの目には浮かんだ。

(・・・・・・・・きっと、二人とも寂しくてたまらないのね。アイジーは、自分のクッションにベッタリよね。ラフディーはどうしているかしら? 野生化したりしてないわよね? イエロス・トポスの使者から、私と長く離れると、ラフディーは野生の血が呼び起こされるので、常に側に置くようにって言われていたのに、置いてきてしまったわ・・・・・・・・)

 アイリーンが二匹のことを考えていると、窓に小石が当たる音がした。

(・・・・・・・・カルヴァドスさんだ!・・・・・・・・)

 アイリーンは慌ててカーテンを開けると、窓の鍵をあけた。