アイリーンとて、一日で兄が見つかるとは思っていない。しかし、屋敷にヴァイオリンを置いたまま、安宿に三ヶ月も前から戻っていないとなると、余程の怪我か、刺客に狙われて外にでられないと言うことしか考えられなかった。
「お兄さま、どうかご無事で・・・・・・」
部屋に戻ったアイリーンの口からは、ウィリアムを思う言葉が洩れた。
貴族の一日は決まり事が多い。使用人扱いとは言え、夕食の前に着替えをしなくてはいけないし、夕食後は入浴して寝る準備をすべて自分で整えなくてはいけない。
(・・・・・・・・ローズ、大変な仕事を押しつけてしまったけれど、大丈夫かしら・・・・・・・・)
少し早いけれど、寝る準備を整えていたアイリーンのもとに、叔母のキャスリーンがやってきた。
「叔母様、どうかなさったのですか?」
驚いてアイリーンが尋ねると、キャスリーンはそっと懐から手紙を一通取り出した。
「今日、あなたが出かけた後に届いたのです。私宛の手紙の中にあなた宛の手紙が入っておりました」
手紙はローズからだった。
すぐに封を開けると、ぱさっと、二房の毛の固まりがベッドの上に落ちた。
「これは、アイジーとラフディーの毛だわ! どっちも尻尾の毛ね。ああ、二人を思いっきり抱き締めてあげたいわ」
アイリーンは言うと、手紙も読まずに二房の毛を両手に持って頬にスリ寄せ、離れ離れの二匹のことを思った。
「アイゼンハイムとラフカディオということは、イエロス・トポスからの贈り物の狼と、あなたの愛犬ね?」
実物を見たことのないキャスリーンは、銀色の毛の束が狼のラフカディオの物で、赤毛のふわふわとした毛の束がアイゼンハイムの物なのだと理解した。
「こんなに長く、二人とも離れていたことがないから、きっと寂しがっているわ」
アイリーンは言いながら手紙を開いた。
ダリウス王子との約束通り、国境線の兵が除かれ、貿易が自由に行えるようになったこと。海岸線には、まだパレマキリアの軍艦が威嚇するように留まっているが、以前よりは外海に出ているので、客船の入港も元通りになっていると書かれていた。
国に帰ったダリウス王子からは連絡はなく、ただ婚姻に際して、アイゼンハイムもラフカディオも伴うことを許可できないと言う旨の連絡がパレマキリアから来たことが書かれていた。
これに関しては、以前、アイゼンハイムとラフカディオに襲われたことのあるダリウス王子が同伴を許さないだろうということは、分かっていたので、特に驚くことではなかった。
心配していた父王の体調もかなり良くなり、最近は週に一回程度、朝議に姿を見せるようになったとあり、アイリーンはかなり安心した。
「お兄さま、どうかご無事で・・・・・・」
部屋に戻ったアイリーンの口からは、ウィリアムを思う言葉が洩れた。
貴族の一日は決まり事が多い。使用人扱いとは言え、夕食の前に着替えをしなくてはいけないし、夕食後は入浴して寝る準備をすべて自分で整えなくてはいけない。
(・・・・・・・・ローズ、大変な仕事を押しつけてしまったけれど、大丈夫かしら・・・・・・・・)
少し早いけれど、寝る準備を整えていたアイリーンのもとに、叔母のキャスリーンがやってきた。
「叔母様、どうかなさったのですか?」
驚いてアイリーンが尋ねると、キャスリーンはそっと懐から手紙を一通取り出した。
「今日、あなたが出かけた後に届いたのです。私宛の手紙の中にあなた宛の手紙が入っておりました」
手紙はローズからだった。
すぐに封を開けると、ぱさっと、二房の毛の固まりがベッドの上に落ちた。
「これは、アイジーとラフディーの毛だわ! どっちも尻尾の毛ね。ああ、二人を思いっきり抱き締めてあげたいわ」
アイリーンは言うと、手紙も読まずに二房の毛を両手に持って頬にスリ寄せ、離れ離れの二匹のことを思った。
「アイゼンハイムとラフカディオということは、イエロス・トポスからの贈り物の狼と、あなたの愛犬ね?」
実物を見たことのないキャスリーンは、銀色の毛の束が狼のラフカディオの物で、赤毛のふわふわとした毛の束がアイゼンハイムの物なのだと理解した。
「こんなに長く、二人とも離れていたことがないから、きっと寂しがっているわ」
アイリーンは言いながら手紙を開いた。
ダリウス王子との約束通り、国境線の兵が除かれ、貿易が自由に行えるようになったこと。海岸線には、まだパレマキリアの軍艦が威嚇するように留まっているが、以前よりは外海に出ているので、客船の入港も元通りになっていると書かれていた。
国に帰ったダリウス王子からは連絡はなく、ただ婚姻に際して、アイゼンハイムもラフカディオも伴うことを許可できないと言う旨の連絡がパレマキリアから来たことが書かれていた。
これに関しては、以前、アイゼンハイムとラフカディオに襲われたことのあるダリウス王子が同伴を許さないだろうということは、分かっていたので、特に驚くことではなかった。
心配していた父王の体調もかなり良くなり、最近は週に一回程度、朝議に姿を見せるようになったとあり、アイリーンはかなり安心した。


