しばらくすると、コパルが宿から走って戻ってきた。
「以前は、かなり長く滞在されていたようです。ですが、三ヶ月ほど前からはお代が払ってあるのに戻っていらっしゃらないとの事でした」
思わず、どうやって調べたのかと尋ねたかったが、アイリーンは冷静になってウィリアムが本当の意味で行方不明になったのはこの三ヶ月であり、その前は多分、侯爵家に迷惑をかけないように、ワザと屋敷に帰らずこの安宿に身を隠していたのだろうと考えた。
(・・・・・・・・ということは、あのカトリーヌという女性からの手紙を読んだ後、その女性に会いに行ってパレマキリアの刺客に見つかり、お兄様はここに姿を隠したと言う事になるのかしら? それとも、叔母さまが嫌がるから、その女性と会う時は侯爵家の屋敷ではなく、ここで会うようにしていたのかしら? でも、それならば、夜は屋敷に帰っても・・・・・・・・)
そこまで考えてから、アイリーンは兄とカトリーヌも許されざる恋をしていたのではないかという不安が増していった。
学生時代の恋人同士、学院を卒業すれば離れ離れになるのは承知でも、良い大人なのだから、割り切ってタリアレーナ滞在中だけの関係と相手も同意したら、若い男女が二人、監督者の叔母の目の届かない場所で愛し合うこともあり得ない話ではない。
しかし、あれほどまでに音楽をやりたいと言っていた兄が、侯爵邸を出て恋人と過ごしたとしても、ヴァイオリンを置き去りにし、音楽院も欠席している状態はどう考えても納得いかなかった。
「この辺は、昼と夜では違う街になります。奥様から、夜になる前にローズ様を屋敷につれて帰るように命じられておりますから、あまり時間はございませんが、もう暫く、この辺を見て回られますか?」
コパルの問いに、アイリーンは頷くと、露天商を見て回るふりをしながら、どこかに兄の痕跡がないかを調べた。見るからに盗品を売っているような店もあったが、それらしき物はなにもなく、コパルに時間ですと言われ、迎えに来た馬車でカタリの中央まで戻ると、見た目もしっかりとした高級な馬車に乗り換え、アイリーンとコパルは侯爵邸への帰路にについた。
☆☆☆
「以前は、かなり長く滞在されていたようです。ですが、三ヶ月ほど前からはお代が払ってあるのに戻っていらっしゃらないとの事でした」
思わず、どうやって調べたのかと尋ねたかったが、アイリーンは冷静になってウィリアムが本当の意味で行方不明になったのはこの三ヶ月であり、その前は多分、侯爵家に迷惑をかけないように、ワザと屋敷に帰らずこの安宿に身を隠していたのだろうと考えた。
(・・・・・・・・ということは、あのカトリーヌという女性からの手紙を読んだ後、その女性に会いに行ってパレマキリアの刺客に見つかり、お兄様はここに姿を隠したと言う事になるのかしら? それとも、叔母さまが嫌がるから、その女性と会う時は侯爵家の屋敷ではなく、ここで会うようにしていたのかしら? でも、それならば、夜は屋敷に帰っても・・・・・・・・)
そこまで考えてから、アイリーンは兄とカトリーヌも許されざる恋をしていたのではないかという不安が増していった。
学生時代の恋人同士、学院を卒業すれば離れ離れになるのは承知でも、良い大人なのだから、割り切ってタリアレーナ滞在中だけの関係と相手も同意したら、若い男女が二人、監督者の叔母の目の届かない場所で愛し合うこともあり得ない話ではない。
しかし、あれほどまでに音楽をやりたいと言っていた兄が、侯爵邸を出て恋人と過ごしたとしても、ヴァイオリンを置き去りにし、音楽院も欠席している状態はどう考えても納得いかなかった。
「この辺は、昼と夜では違う街になります。奥様から、夜になる前にローズ様を屋敷につれて帰るように命じられておりますから、あまり時間はございませんが、もう暫く、この辺を見て回られますか?」
コパルの問いに、アイリーンは頷くと、露天商を見て回るふりをしながら、どこかに兄の痕跡がないかを調べた。見るからに盗品を売っているような店もあったが、それらしき物はなにもなく、コパルに時間ですと言われ、迎えに来た馬車でカタリの中央まで戻ると、見た目もしっかりとした高級な馬車に乗り換え、アイリーンとコパルは侯爵邸への帰路にについた。
☆☆☆


