使用人達が街まで出かけるのに使う飾り気のない実用性を重視した乗り心地のあまりよくない馬車で街まで下りると、馬車はコパルとアイリーンを降ろして屋敷へと戻って行った。
「ローズ様、ここからは、もっと、安い馬車に乗り換えます」
コパルは言うと、アイリーンの手を引いて角を曲がると数本裏の道へと進んでいった。
本数本裏に入るだけで街の様子は一変し、なんとなく薄暗いような、薄汚れたような建物に、街角にはゴミや置かれているのか捨てられているのかわからないものが置き去りにされていた。
コパルは慣れた様子で馬車を拾うと、行き先を御者に伝えすぐに馬車に乗り込んできた。
侯爵家の馬車では、使用人用でもコパルが乗るのを嫌がるものが少なくないため、コパルは馬車にはのらず、いつも御者の隣に座っていた。
「この馬車で、私がジョージ様を見た場所までお連れします。でも、陽が暮れたら、直ぐにお屋敷に帰りますから、よろしいですね? それから、絶対に勝手な行動や、一人で店に入ったり、脇道に入ったりなさらないでくださいね」
コパルは、まるでアイリーンよりも歳上のようにしっかりとしていた。
「わかったわ、コパル。ここでは、ちゃんとコパルの言うことを聞きます」
アイリーンは笑顔で言うと、コパルに笑って見せた。
殆どの貴族が社交シーズンしか王都に居ないのと違い、侯爵は王城勤めなので、所領に帰ることが少なく、街の中心にあった手狭なタウンハウスだけではなく、街の外に新たな屋敷を構えた。構えたと言っても、上司であった、前任の外務大臣が退任して所領に戻るのに合わせて屋敷を譲って貰ったというのが事実で、シュナイダー侯爵家の屋敷というより、王城勤めの外務大臣が代々住む屋敷という方が相応しかった。
しかし、そんな習慣のないデロスから来たアイリーンには、なぜ、シュナイダー侯爵の屋敷だけが街から離れた静かなところにあるのかなど、分からないことが沢山だったが、それを質問する時間がもったいないくらい、早くウィリアムを見つけたいと思っていた。
コパルとアイリーンを乗せた馬車はカタリの裏街を走り抜けて行った。
☆☆☆
「ローズ様、ここからは、もっと、安い馬車に乗り換えます」
コパルは言うと、アイリーンの手を引いて角を曲がると数本裏の道へと進んでいった。
本数本裏に入るだけで街の様子は一変し、なんとなく薄暗いような、薄汚れたような建物に、街角にはゴミや置かれているのか捨てられているのかわからないものが置き去りにされていた。
コパルは慣れた様子で馬車を拾うと、行き先を御者に伝えすぐに馬車に乗り込んできた。
侯爵家の馬車では、使用人用でもコパルが乗るのを嫌がるものが少なくないため、コパルは馬車にはのらず、いつも御者の隣に座っていた。
「この馬車で、私がジョージ様を見た場所までお連れします。でも、陽が暮れたら、直ぐにお屋敷に帰りますから、よろしいですね? それから、絶対に勝手な行動や、一人で店に入ったり、脇道に入ったりなさらないでくださいね」
コパルは、まるでアイリーンよりも歳上のようにしっかりとしていた。
「わかったわ、コパル。ここでは、ちゃんとコパルの言うことを聞きます」
アイリーンは笑顔で言うと、コパルに笑って見せた。
殆どの貴族が社交シーズンしか王都に居ないのと違い、侯爵は王城勤めなので、所領に帰ることが少なく、街の中心にあった手狭なタウンハウスだけではなく、街の外に新たな屋敷を構えた。構えたと言っても、上司であった、前任の外務大臣が退任して所領に戻るのに合わせて屋敷を譲って貰ったというのが事実で、シュナイダー侯爵家の屋敷というより、王城勤めの外務大臣が代々住む屋敷という方が相応しかった。
しかし、そんな習慣のないデロスから来たアイリーンには、なぜ、シュナイダー侯爵の屋敷だけが街から離れた静かなところにあるのかなど、分からないことが沢山だったが、それを質問する時間がもったいないくらい、早くウィリアムを見つけたいと思っていた。
コパルとアイリーンを乗せた馬車はカタリの裏街を走り抜けて行った。
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