お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!

「アイリーン? どうしたのです? 出かけるのでしょう? 遅くなるのは危険ですから、出かけるなら、早くお行きなさい」
 キャスリーンは心配そうに声をかけた。
「はい、叔母様。では、行って参ります」
 アイリーンは何とか言葉にすると、立ち上がりライブラリーの扉に向かった。
「叔母様、お願いがございます」
 立ち止まると、アイリーンはキャスリーンに向き直った。
「叔父様に、デロスの、国の様子を伺っていただけませんか? 今年に入って大きな失策がなかったかとか、国の存在を脅かすような失策がなかったかどうか」
 アイリーンの言葉に、キャスリーンが首を傾げた。
「国のことなら、お兄様からも旦那様からもお話を聞いていますが、その様な事は未だ一度も聞いたことがありませんよ。ああ、お兄様が知ったら、なんと仰るか!」
 キャスリーンは痛む頭に手を当てて言った。
 現在、クーマー伯爵家の当主である長兄のユリウスは、一騎当千の騎士だった父に性格が生き写しだった。
「それなら、良かったです。間違いがなくて・・・・・・」
 アイリーンは呟くように言うと、進んで扉のノブに手をかけた。
「では、行って参ります」


 アイリーンが廊下に出ると、表玄関寄りの廊下の端でコパルがアイリーンを待っていた。
「ローズお嬢様、馬車の準備が出来ております」
 コパルに笑顔で言われ、アイリーンは無言で頷くと、コパルを伴って表玄関から屋敷を後にした。

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