お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里！

「カルヴァドスさん、あなたも貴族なら、貴族の娘の意向が貴族同士の結婚でどれほど軽んじられるものか、よくおわかりでしょう？」
　アイリーンに言われなくても、女性の意志が軽んじられるのは、デロスよりもエクシソシアの方が激しい。なにしろ、デロスと違い一夫多妻性だ。そこには女性の意見や意志など通る隙間もない。
「分かってる。エクシソシアは一夫多妻だから、女性達がどれほど望まぬ結婚をさせられてるのかは、俺には想像も付かない。でも、デロスはそこまで酷くないはずだ」
「でも、デロスは常にデロスを守ってくれる国を探しています。今回の一件だって、パレマキリアがやり方を変え、デロスの守護者となりたいと意見を翻せば、結婚話は流れないでしょう」
「そんな！」
　カルヴァドスの言葉に、アイリーンは目を伏せた。
「エクソシアもデロスも、エイゼンシュタインではありません。エクソシアは一夫多妻、デロスは一夫一婦制、まず、この食い違いを何とかしないと、デロスの女性は嫁ぐことが出来ないでしょう」
　アイリーンの言うのも事実だった。