お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!

 何しろ、エクソシアにとって、デロスの守護者になることは長年の大願。この機にパレマキリアを併合してしまうことも一つの策であると言うような、好戦的な回答も帰ってきた。
 実際、デロスの守護者たる地位を確固たるものにしたいエクソシアにとって、パレマキリアは長年の目の上のたんこぶだ。
 しかし、陸軍、海軍共に強大な兵力を持つエクソシアにとっても、海側が絶壁で覆われ、海側からの攻撃が東西二つの港しか無いパレマキリアはかなり攻めにくい国でもあった。ただ、国境を接しているので、一気に陸軍で攻め込めば、デロスに軍を集中させているパレマキリアを落とすことは不可能ではないだろうと、カルヴァドスも考えた。
 パレマキリアは、エクソシアから石炭や工芸品、豊かな農地から取れる野菜や果実を輸入する立場であり、パレマキリアにはエクソシアに弓引く意志は全くない。
 それを表す形で国境線への軍の展開も行わず、ただ、出入国する者を確認するための検問、主に両国の犯罪者が国境を越えないようにするための略式の検問所しか設けていない。
 そういう意味では、エクソシアは常に国境線に軍を展開し、事が有れば何時でも攻め込むことが出来るようにしているが、あまり豊かではないパレマキリアは攻め込んでまで欲しいほどの土地ではない。