お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!

 手紙を書き終え、国の重臣に宛てて書かれた手紙をメイドに手渡すと、コンシェルジュがコベントリーを案内してきた。
「これはこれは、公爵様。度々のお召し、恐悦至極にございます」
 丁寧に挨拶するコベントリーに、カルヴァドスは所有する最高級のダイヤモンドで恋人に婚約指輪を造りたいこと、そして、サイズは昨日、控えさせたサイズであることを伝えた。
「では、公爵様がいよいよご婚約を?」
 コベントリーは目を輝かせた。
「そのつもりだ。時間は少しある。最高の石と最高のデザインで、他の誰にも見劣りしない、皇帝の后がするような指輪を造って貰いたい」
 カルヴァドスの言葉にコベントリーは小躍りしそうに喜んだ。
 一夫多妻の国で、公爵位にありながら、未だ一人の妻も迎えていないカルヴァドスの事を一部では、男色なのではと陰口をたたく者もあった。
 それを知っているコベントリーだけに、この大役に抜擢された事が誇らしくてたまらなかった。
「しばらく、指輪を頼んだことは内密にしておいて欲しい。頼めるか?」
「もちろんでございます。では、後ほど、最上級の石を持参し、公爵様にお選びいただきたく存じます」
「そうだな。自分で選ぶのは最高だな。アイリに似合う、美しい物を用意したいからな」
 ご機嫌のカルヴァドスに一礼し、コベントリーはダイヤを取りに戻っていった。