お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!

 陸にいるからか、船の上ではそれ程深く眠れない代わりに、長く寝ることの多かったアイリーンだったが、外が明るくなってきたこともあり、パッチリと目が開いた。
 時計を見ると、朝の六時だった。
 王宮に居れば、アイリーンが起きる時間だ。
 アイリーンが起き上がっても、カルヴァドスは眠っていた。

(・・・・・・・・良かった。カルヴァドスさんが起きなくて・・・・・・・・)

 アイリーンは静かにベッドを下りると、着替えの入った自分の荷物を手にベッドルームを後にした。しかし、手紙を置きに来なくてはいけないので、あえてドアーは閉めずにリビングへ移動した。
 船を下りたときの、お嬢様っぽいドレスに着替え、パジャマを荷物に詰め込んだ。
 バッグに隠して置いた手紙を手に、ベッドルームに戻ると、自分の枕の上に手紙を置いた。
 こんな去り方をしても船で再会するのだから、意味がないと言われればそうかもしれない。でも、海の女神と約束したアイリーンには、このままもう一晩、カルヴァドスの恋人として過ごすと言う選択はなかった。
 もう、後悔することもないほど、一生分、幸せな時間は過ごした。
「ありがとうございます」
 アイリーンは小さな声で言うと、ベッドルームの扉を閉めた。
 それから荷物を手に、部屋を後にした。

☆☆☆