お転婆姫は命がけ。兄を訪ねて三千里!

「あ、水を取ってくる」
 カルヴァドスは言うと、一旦アイリーンから離れ、置いてきたボトルの水を二本持ってきた。
「グラスなしでも平気か?」
「はい」
「じゃあ、枕元において置くぞ」
 カルヴァドスはボトルを置き、再びベッドに戻るとアイリーンをしっかりと抱き締めた。
「今日の俺、格好悪くなかったか?」
 カルヴァドスの問いに、アイリーンは首を傾げた。
「いや、長いこと船乗りやってたから、ああいう、貴族みたいなこと、全然してないからさ。アイリーンから見たら、ダメ駄目で格好悪くなかったか心配でさ、最後のダンスも、ちょっとステップヤバかったし」
「そんなことないです。とっても素敵でした」
「そうか、よかった。こういう、やり慣れないことすると、ボロが出るぞってドクターに忠告されたんだ。でも、アイリが楽しんでくれたんなら良かった」
「今までで、一番楽しい一日でした」
 アイリーンはチラリと時計に目を走らせ、まだ、一日が終わっていないことを確認すると、カルヴァドスの体に腕を回した。
「アイリ、心から愛してる」
 カルヴァドスがアイリーンの頤に指をかけた。
「私も愛しています。カルヴァドスさん」
 アイリーンの答えに笑みを浮かべると、カルヴァドスは唇を重ねた。
 優しく啄むような口付けが段々と深まって行く。
 隣に横になっていたはずのカルヴァドスが、気付けばアイリーンの上にいた。
 カルヴァドスはアイリーンを見つめると、しっかりと抱き締めて深く情熱的なキスをした。
 呼吸をするのも忘れるほど、二人は互いに相手を求め合った。
 何度も、何度も、口付けだけしかできない二人だから、口付けを交わした。
「ああ、駄目だ」
 先にカルヴァドスが音を上げた。
「これ以上、盛り上がったから我慢できなくなる」
 本当なら『好きにして欲しい』と言ってしまいたいアイリーンだったが、もう時間は残されていなかった。
「じゃあ、お休みなさい」
 アイリーンが言うと、カルヴァドスは諦めたように起き上がった。
「アイリ、先に寝ててくれ。少し、頭を冷やしてくるから」
 カルヴァドスはいうとベッドルームから出て行った。
 アイリーンは、時計が間もなく十二時になるのを横目で確認すると、そのまま目を閉じた。
 疲れていたアイリーンは、自分で思っていたよりも、あっさりと眠りに落ちていった。


 暫くして、お酒で気分をごまかしたカルヴァドスが、戻ってきたときにはアイリーンは夢の中だった。
 カルヴァドスはアイリーンを起こさないように優しく抱きしめた。
「アイリ、お休み」
 もう一度、触れるだけのキスをアイリーンの唇に落としてからカルヴァドスは眠りについた。

☆☆☆