「カルヴァドスさん?」
アイリーンは首をかしげながら呼び掛けた。
「いや、エクソシアはパレマキリアと国境を接している。だから、デロスを助けるなら、タリアレーナよりもエクソシアに助けを求めるべきだったんだ。六ヶ国同盟からのデロス不可侵の申し入れをパレマキリアが無視してデロスに侵攻するなら、エクソシアはデロスを護るために、すぐにパレマキリアへ攻め入る準備がある。デロスに対して大きな顔をしているパレマキリアも、エクソシアに侵攻を受ければ、デロスに構っている場合じゃなくなるからな。まして、王都はエクソシア寄り、エクソシアが猛攻で攻め上がれば、王都が陥落する可能性もゼロではない。だが、両端にあるエイゼンシュタインとタリアレーナから六ヶ国同盟各国に回状が回るのを待っていたら、パレマキリアの好き勝手を許してしまうことになる」
カルヴァドスの言葉は、政に長けた国の大臣の言葉のように的確で、アイリーンは自分が知らなかったパレマキリアとエクソシアの関係を知るに至り、不敬と思われたくないからと、叔母達に頼ることを考え、自分では六ヶ国同盟の国家元首宛には一通も支援の要請の手紙を書いていないことを後悔した。
(・・・・・・・・カルヴァドスさんに言われて気付くなんて。カルヴァドスさんは大臣でも何でもないのに。私が姫巫女としての務めに比重を置いて、自分が国外に殆ど出られないからと、外交をお兄様に任せっきりにしていたから、代理になってもちゃんと見るべきものが見えていなかったんだわ。一番遠いエイゼンシュタインとタリアレーナに助けの手紙を送るなんて。しかも、叔母様達が叔父様に手紙を見せ、さらに陛下に謁見を願い出て私からの依頼を伝えて下さるとして、そんなの何時になるか分からない。南にはノティアソーラ連邦も有ったのに。連邦なら、百島以上の島を統治できる連邦海軍の力を借りることもできたかも知れない。私がエイゼンシュタインとタリアレーナではなく、エクソシア帝国とノティアソーラ連邦に助けを求めれば、エクソシア帝国がパレマキリアとの国境線で事を構えると六ヶ国同盟からのデロス不可侵の申し出の履行を要求し、ノティアソーラ連邦が海軍を展開して同様に要求したら、パレマキリアも危機を感じて、無条件で撤退したかも知れない。そうしたら、私はカルヴァドスさんと・・・・・・。ムリだ。カルヴァドスさんはただの船乗り、仮にも一国の王女である私が軽々しく平民に嫁げる筈はない。結局、どこまで行っても、私はカルヴァドスさんと引き離される運命なんだ。これが、私の運命・・・・・・。そうか、本で読んだ通りだ。初恋は実らない。ムリを押し通せば、必ずどこかにしわ寄せがくる。・・・・・・でも、カルヴァドスさんよりも、愛せる人がこの世の中にいるとは思えない。ましてや、王女として嫁ぐ相手に対して、こんなに情熱的な想いを抱けるとは思えない。だとしたら、どうして、どうして、私は恋してしまったの? 自分の無力さを思い知るため? 逃れられない運命を思い知るため? 自分の生まれに絶望するため? 私はフレドじゃなく、本当の私を見てくれる人に出逢って、本当の私を好きになって貰いたかっただけなのに。王女でも、姫巫女でもない、ただの私を・・・・・・・・)
そこまで考えたアイリーンは、カルヴァドスが姫巫女に恋していたことを思い出した。
アイリーンは首をかしげながら呼び掛けた。
「いや、エクソシアはパレマキリアと国境を接している。だから、デロスを助けるなら、タリアレーナよりもエクソシアに助けを求めるべきだったんだ。六ヶ国同盟からのデロス不可侵の申し入れをパレマキリアが無視してデロスに侵攻するなら、エクソシアはデロスを護るために、すぐにパレマキリアへ攻め入る準備がある。デロスに対して大きな顔をしているパレマキリアも、エクソシアに侵攻を受ければ、デロスに構っている場合じゃなくなるからな。まして、王都はエクソシア寄り、エクソシアが猛攻で攻め上がれば、王都が陥落する可能性もゼロではない。だが、両端にあるエイゼンシュタインとタリアレーナから六ヶ国同盟各国に回状が回るのを待っていたら、パレマキリアの好き勝手を許してしまうことになる」
カルヴァドスの言葉は、政に長けた国の大臣の言葉のように的確で、アイリーンは自分が知らなかったパレマキリアとエクソシアの関係を知るに至り、不敬と思われたくないからと、叔母達に頼ることを考え、自分では六ヶ国同盟の国家元首宛には一通も支援の要請の手紙を書いていないことを後悔した。
(・・・・・・・・カルヴァドスさんに言われて気付くなんて。カルヴァドスさんは大臣でも何でもないのに。私が姫巫女としての務めに比重を置いて、自分が国外に殆ど出られないからと、外交をお兄様に任せっきりにしていたから、代理になってもちゃんと見るべきものが見えていなかったんだわ。一番遠いエイゼンシュタインとタリアレーナに助けの手紙を送るなんて。しかも、叔母様達が叔父様に手紙を見せ、さらに陛下に謁見を願い出て私からの依頼を伝えて下さるとして、そんなの何時になるか分からない。南にはノティアソーラ連邦も有ったのに。連邦なら、百島以上の島を統治できる連邦海軍の力を借りることもできたかも知れない。私がエイゼンシュタインとタリアレーナではなく、エクソシア帝国とノティアソーラ連邦に助けを求めれば、エクソシア帝国がパレマキリアとの国境線で事を構えると六ヶ国同盟からのデロス不可侵の申し出の履行を要求し、ノティアソーラ連邦が海軍を展開して同様に要求したら、パレマキリアも危機を感じて、無条件で撤退したかも知れない。そうしたら、私はカルヴァドスさんと・・・・・・。ムリだ。カルヴァドスさんはただの船乗り、仮にも一国の王女である私が軽々しく平民に嫁げる筈はない。結局、どこまで行っても、私はカルヴァドスさんと引き離される運命なんだ。これが、私の運命・・・・・・。そうか、本で読んだ通りだ。初恋は実らない。ムリを押し通せば、必ずどこかにしわ寄せがくる。・・・・・・でも、カルヴァドスさんよりも、愛せる人がこの世の中にいるとは思えない。ましてや、王女として嫁ぐ相手に対して、こんなに情熱的な想いを抱けるとは思えない。だとしたら、どうして、どうして、私は恋してしまったの? 自分の無力さを思い知るため? 逃れられない運命を思い知るため? 自分の生まれに絶望するため? 私はフレドじゃなく、本当の私を見てくれる人に出逢って、本当の私を好きになって貰いたかっただけなのに。王女でも、姫巫女でもない、ただの私を・・・・・・・・)
そこまで考えたアイリーンは、カルヴァドスが姫巫女に恋していたことを思い出した。



