「カルヴァドスさん・・・・・・」
想いを込めてアイリーンがカルヴァドスの名を呼んだ。
「アイリ、君を誰にも渡したくない。だから、俺に教えてくれないか? 君の婚約者の名前を・・・・・・」
カルヴァドスの問いに、アイリーンは一瞬のうちに現実に引き戻された。
ダリウス王子は、決して口先だけの脅しで済ますような男ではない。どちらかと言えば、悪逆の限りを尽くすことに関しては有言実行するタイプだ。
デロス王宮を訪れたダリウス王子は、パレマキリアの王宮には洗練された者しかおらず勤めているのは誰も彼も皆貴族の子弟で、デロス王宮のように、平民が使用人の服を着て我が物顔で闊歩するようなことは許されないし、招かれた客の前で粗相をするような使用人は即手打ちにするのがパレマキリアの王宮のしきたりだと自慢げに話した。当然、それを聞いたアイリーンは、またダリウス王子のパレマキリア的選民思想だと聞き流し、ただ単に、貴族だけではなく平民を使用人として働かせているデロスを見下す表現に過ぎないと思っていた。しかし、その後アイリーンは、招かれたパレマキリア王宮でのパーティーで、粗相をした使用人がダリウス王子によって足蹴にされた上、剣で切りつけられるのを目の当たりにした。
あまりの事に驚いたアイリーンが止めに入ったものの、ダリウス王子はアイリーンのドレスに飲み物をかけるような使用人は、死して詫びるのが当然と、そのまま貴族の子弟を殺害しようとしたが、アイリーンが一歩も譲らなかったため、仕方なく大けがをさせただけで剣を収めた。しかし、ダリウス王子は自国の貴族や民に対して、何の躊躇もなく命を奪おうとする残虐な処罰を好む人間だ。それを目にしていたからこそ、停戦の条件にアイリーンとの結婚話を持ち出したダリウス王子が口にした脅しが、ただの脅しではないことをだけよりもアイリーンは理解していた。
あのパーティーの時のダリウス王子にしてみれば、自分がパレマキリアの王太子であること、誰にも負けない富と権力を持ち、人の命など、いくらでも好きに奪えるのだというところをアイリーンに見せ付けて、自分の強さをアピールしていたのだろうが、その可虐的で、人を人とも思わない非道な仕打ちをする事にアイリーンが拒絶反応を示したにもかかわらず、ダリウス王子はその可虐的な性分を前面に出して今回の和平交渉にも及んだ。
アイリーンが結婚に応じなければ、デロスを墓場に変えると・・・・・・。
思い出すだけでアイリーンの体が強ばっていった。もし、アイリーンがカルヴァドスの事を愛したとダリウス王子が知ったら、カルヴァドスの命が危険に曝されると気付いたからだ。
想いを込めてアイリーンがカルヴァドスの名を呼んだ。
「アイリ、君を誰にも渡したくない。だから、俺に教えてくれないか? 君の婚約者の名前を・・・・・・」
カルヴァドスの問いに、アイリーンは一瞬のうちに現実に引き戻された。
ダリウス王子は、決して口先だけの脅しで済ますような男ではない。どちらかと言えば、悪逆の限りを尽くすことに関しては有言実行するタイプだ。
デロス王宮を訪れたダリウス王子は、パレマキリアの王宮には洗練された者しかおらず勤めているのは誰も彼も皆貴族の子弟で、デロス王宮のように、平民が使用人の服を着て我が物顔で闊歩するようなことは許されないし、招かれた客の前で粗相をするような使用人は即手打ちにするのがパレマキリアの王宮のしきたりだと自慢げに話した。当然、それを聞いたアイリーンは、またダリウス王子のパレマキリア的選民思想だと聞き流し、ただ単に、貴族だけではなく平民を使用人として働かせているデロスを見下す表現に過ぎないと思っていた。しかし、その後アイリーンは、招かれたパレマキリア王宮でのパーティーで、粗相をした使用人がダリウス王子によって足蹴にされた上、剣で切りつけられるのを目の当たりにした。
あまりの事に驚いたアイリーンが止めに入ったものの、ダリウス王子はアイリーンのドレスに飲み物をかけるような使用人は、死して詫びるのが当然と、そのまま貴族の子弟を殺害しようとしたが、アイリーンが一歩も譲らなかったため、仕方なく大けがをさせただけで剣を収めた。しかし、ダリウス王子は自国の貴族や民に対して、何の躊躇もなく命を奪おうとする残虐な処罰を好む人間だ。それを目にしていたからこそ、停戦の条件にアイリーンとの結婚話を持ち出したダリウス王子が口にした脅しが、ただの脅しではないことをだけよりもアイリーンは理解していた。
あのパーティーの時のダリウス王子にしてみれば、自分がパレマキリアの王太子であること、誰にも負けない富と権力を持ち、人の命など、いくらでも好きに奪えるのだというところをアイリーンに見せ付けて、自分の強さをアピールしていたのだろうが、その可虐的で、人を人とも思わない非道な仕打ちをする事にアイリーンが拒絶反応を示したにもかかわらず、ダリウス王子はその可虐的な性分を前面に出して今回の和平交渉にも及んだ。
アイリーンが結婚に応じなければ、デロスを墓場に変えると・・・・・・。
思い出すだけでアイリーンの体が強ばっていった。もし、アイリーンがカルヴァドスの事を愛したとダリウス王子が知ったら、カルヴァドスの命が危険に曝されると気付いたからだ。


