おばあちゃんは、夫をなくして以来、県営住宅に住みながら、女手ひとつで7人の子供を育てたという。

しかも、その7人の子供たちの内2人の息子は、若くして、おばあちゃんよりずっと先に亡くなってしまったと聞いている。


その子供たちが、とっくにそれぞれの家庭を持ち、孫もだいぶん大きくなった頃も、おばあちゃんは県営住宅で慎ましく一人暮らしをしていた。

私の家とおばあちゃんの住宅からは、市電で1本だったので、私が幼い頃、おばあちゃんはよく家に遊びに来てくれた。

母と私は、当時から複雑な関係にあっただけに、私は学校から帰宅し、おばあちゃんが来ていると、とても嬉しくて…。

いま思えば、年金だけで暮らしていたのだから、生活は決して楽ではなかっただろうに、おばあちゃんは毎月必ずおこづかいもくれたのだ。