生き残った部下を連れて、オットーはラインハルトの小隊へ向かう。ティーガーの搭乗員は戦車の外で死んでいた。機関銃で撃たれたらしい。期待していたラインハルトの死体はない。

「少尉殿。我々も早く退却しましょうや」
「うるさい。黙ってろ」
「本部から退却命令が出たんですぜ。作戦に失敗したのは陸軍の奴らで俺らSS(親衛隊)の責任じゃない。そうですよね」

 ぐだぐだ文句を言っている部下をにらむ。

「つめこべ言っていないで少佐を探せ」
「ラインハルト少佐ですかい?」
「そうだ。死体がない。探せ」

 周囲を探していると、森に少し入ったところでうずくまってる男を発見した。美しかった金髪は泥にまみれ、端正な顔も血と泥にまみれていた。手で腹を押さえており、染み出してきた血で軍服のそのあたりが真っ赤に染まっている。