「あ、はい……。多分、大丈夫だと思います」
「そうですか。良かったです」
は、橋本さんって……よく分からない人だな。
「あの、橋本さん……」
「なんですか」
なんか分からないけど、私……。
「今日は、本当にありがとうございました」
「気にしなくていいですよ」
クールは橋本さんは、まだ独身だった気がする。女性社員からは、橋本さんは厳しい人らしく、近寄りがたい雰囲気だと聞いている。
「……はい」
確かに、近寄りがたい雰囲気はあるけど……。
そんなことを考えていたその時だった。
ガタンッ!!
「きゃっ?!」
えっ、な、何……?!
「まさか……」
エレベーターが突然、止まってしまった。
「え、止まってる……?!」
え、エレベーターが、止まってる!?
「……これは、まずいことになったな」
突然エレベーターが止まったことで、電気も止まってしまい、暗くなってしまった。
「何も見えない……」
手探りでしか探せないし、暗くて何も見えない。……怖い。
「大丈夫ですか、時枝さん」
「……怖い」
私は暗闇が怖いのだ。恐怖症で、暗闇が怖い。
「時枝さん?」



