「たまたま、だもんね……」
って……。私、なんか嬉しいって思ってる?
いやいや。そんなこと……ないよね?
「はぁあああ」
さっきから私、橋本さんのことばっかり考えてる……。
「お疲れ様です」
「あ、お疲れ様です」
ダメダメ!今は仕事中よ! 余計なことは考えない!
そう、考えないのよ。
「さ、早く終わらせないと」
そう思っていた私だったのだけど……。
この後まさか、とんでもないことに巻き込まれるなんて、思ってもなかったーーー。
✱ ✱ ✱
「お疲れ様でした」
「お疲れ様でした」
清掃の仕事を終えた私は、そのまま帰宅しようと再びエレベーターに乗り込む。
扉を閉めようとした、その時……。
「すみません、乗ります」
と、誰かがエレベーターの中に入ってくる。
「……あっ」
「あっ」
まさかのまた橋本さん……。
「お、お疲れ様……です」
「お疲れ様です」
今日橋本さんとよく会うんだけど……。なぜ?
「時枝さん、大丈夫ですか?あの後」
「えっ?」
「ケガ、ですよ。痛い所はないですか?」
えっと……まさか心配、してくれてるの?



