『バイバイ・・・?オネーチャン』
 
 『え・・・・・・』

 後ろから私を突き落とす紫乃の手は、びっくりするほど冷たかった。

 世界が、反対になった光景は初めて見た。

 紫乃の目が1ミリの躊躇いもない、憎しみの色で溢れていた。

 いや、今思えばまだ少しだけあったのかもしれないな・・・。

 目の前には、ドス黒い目をした紫乃。

 「今度こそちゃんと死ねよ」

 腹部を強く蹴られ、よろめいた瞬間。

 足場がなくなった。

 崖から落ちたのが分かった。

 そっか・・・。

 今度こそダメだな・・・。

 紫乃のためなら、死んであげても、いいのかな・・・。