「いいと思い、ます・・・」

 私がそう言った瞬間、虎歌さんの目に歓喜の色があった。

 グッと唇をかみしめて俯いた。

 「紫乃も言っていることだし、いいわよ」

 微笑んで告げたお母様に、吐き気がした。

 東雲家は、黒を許さない白であることが絶対の家。

 正しいことをし、真っ直ぐに生きる。

 そんな家の当主の妻が何言ってんの?

 許嫁である私を蹴って、双子の白乃をとるとか。

 それは黒じゃないのかよ。

 「ありがとう・・・。お母さん」