「まぁ。なんで?紫乃の許嫁よね?」

 「はい。ですが、白乃さんのことが好きになってしまいました」

 はっきりと告げた虎歌さんに口を間抜けなほどに開けてしまった。

 そんな様子を見て、白乃が口を開いた。

 「ごめん。お母さん、紫乃」
 
 申し訳なさそうに謝った白乃に対して、言葉が次から次に出てきそうになった。

 でも、虎歌さんがいて言えない。

 ギリっと手をきつく握りしめた。

 「別に、私は白乃と虎歌さんがいいならいいと思うけれど・・・。紫乃はどう?」

 いやだ。

 いやに決まってんじゃん。

 お母様の言葉に反論したかった。

 でも、お母様は良いと言った。

 このことが全て。