私は女の子にはなりたくない

 笑顔は貼り付けたままで、声をグッと低くした紫乃。

 「あー。ほんとムカつくわ。あんたの何でもお見通しですって感じ」

 さっきの弱々しい感じからは想像もできないぐらい。

 全然変わってない・・・。

 その偽物の貼り付けた笑みが私は怖い。

 感情がほとんど動かない私の数少ない、怖いもの。

 「何でここに入ってこれてるの・・・」

 ここの合鍵を持ってるのは、幼馴染だけ。

 「苦労したよ。合鍵作るの」

 にっこりと笑みを浮かべて言った。

 「お母様、お父様も。実李達も。ガード硬いんだもん」