「そっか、そうだよね!」
桂弥に大切なことを教えてもらったあたしは、勢いよく教室を飛び出した。
さいわい保健室の中からは、女子生徒の声がしない。
「睦月!」
「あ、春亜。今日はやけにテンション高いな」
相変わらず事務机に座っている睦月。
「あ、あのですね、約束の彼氏弁当、受け取ってくれませんか?」
あたしはサッと、お弁当の包みを前に差し出す。
睦月は満面の笑みで。
「めっちゃ嬉しい。ありがとな」
と、言ってきちんと受け取ってくれた。
するとーー、戸の外から女子生徒らの声が、こちらに近づいてくことにハッと気が付く。

