「もう、いいわ。その代わり、雛野さん」 「は、はい……っ!」 急に名前を呼ばれて、ビクリと体が跳ねる。 「睦月くんに、あまりワガママ言わないようにね」 「も、もちろんです……っ!」 あたしが笑顔でそう答えると、華宮先生は納得したのか。 ヒールの音を響かせてゆっくりと出て行ったのであった。 「はぁ、緊張した……」 あたしがそう呟くと、睦月は「よくできました」と頭を撫でてくれた。 それから数日後、華宮先生は別の学校へ移動することになりひっそりと姿を消した。