すると、桂弥があたしの肩をトントンと叩く。 そしてそっと小声で。 「せっかくだし、木乃先生に声かけてみたら?」 あたしは即座に頭をブンブン横に振る。 「うんん! 別にいいの! 先生はあの女の子と仲良くしたいみたいだし?」 「え? でもーー」 「本当にいいの! 邪魔しちゃ悪いし、行こ行こ!」 あたしは桂弥の手を強引に引っ張って。 なるべく先生の方を見ないで、前を通った。 もちろん、「さようなら」の挨拶もせずに。