部活に向かう人で廊下は賑わっていた。 角を右に曲がると、見慣れた白い扉が視界に入る。 【保健室にいます】 戸にぶら下がった札には、そう示されていた。 コンコンッとノックしてから「失礼しまーす」と中へ。 保健室の事務机に座って仕事をしていたのは。 ふわふわの黒髪に、これでもかっていうくらい可愛い顔をした人。 ーー木乃睦月先生だった。 「やあ、雛野ちゃん」 ふにゃっと顔を崩して、あたしに笑顔を向ける。