たっと気づかれないように、その場を離れたあたし。

木乃先生は、あたしのことなんて好きじゃなかったんだ。

自然に足が動いたのは、屋上に続く階段。

戸を開けると、桜色の空が視界いっぱいに広がる。




「………っ、うう」

あたしは膝をガクンと落とす。

こらえていたものが一気に押し寄せてきてーー。

固いコンクリートの表面を濡らしたのであった。