午後イチで交通事故によるコーギーのコニーの手術が始まる。
「執刀医は波島、お前だ」
「はい、お願いします」
隼人院長じゃないの?!
「貧乏くじ、驚いた顔してんな。理由は術後に話す。お前は直接介助と器械出しをミスるなよ」
「はい」
「地味な役回りは、お前にぴったりだ」
いくら人手不足とはいえ、二人分の仕事をまた私ひとりで出来るかな?
「大丈夫よ。阿加ちゃんは普段から忘れては困ることは忘れてないから僕ら助かってるよ」
第二助手の俊介先生が、そっと励ましてくれる。
「ありがとうございます」
なにげに隼人院長の言う地味な役回りが私にはぴったりで、少しずつ緊張が解けていく。
犬の右側に執刀医の朝輝先生が立ち、執刀医の朝輝先生の向かい側の左に第一助手の隼人院長が立った。
そして朝輝先生の横に第二助手の俊介先生が立った。
「交通事故による患者の手術を始めます。お願いします」
「お願いします」
朝輝先生の挨拶で手術が始まった。
「口からの出血なしっす。肺からの喀血や消化管からの吐血は考えられないと言えます」
「了解」
落ち着き払った朝輝先生の言葉に隼人院長も俊介先生も同時に返事をする。
「酸素テントいらないですね?」
「必要ない」
私の質問に答えた隼人院長が一瞬、目を見開いたのを見逃さなかった。
「呼吸が速いけど、この子押さえたら危なそう? 胸のレントゲン撮れたら、ある程度は分かるんだよね?」
俊介先生は朝輝先生に考えさせるように指導している。
「人見先生、レントゲンいけるんじゃないっすか?」
「や、動かさないほうが良い。肺出血はないが肋骨が折れている。触れると相当痛がっている」
間髪入れずに隼人院長が会話に割って入る。
「呼吸が速く浅い、折れ方も酷い。胸を動かして呼吸すると痛がる。今、俺が言った状況すべて分かっているか?」
隼人院長は朝輝先生に質問して答えを聞くと先へ進めろと促した。
「コニーちょっとだけ辛抱してね」
麻酔で意識のない患者にも俊介先生は優しく声がけをし続ける。
今の状況で酸素を吸わせると、肺に酸素が入り過ぎた状態になってよけい酷くなる。
「過呼吸になるから酸素を吸わせないほうが良いです」
「見極めが難しいのに、よく決断したな」
隼人院長が朝輝先生を指導しつつ手術を進めていき、手術は滞りなく終了した。
「お疲れ様です、隼人院長」
「お疲れ、貧乏くじも波島みたいに成長したな、頼もしい。いつもちゃんとしてくれよな、怒鳴る方は労力を使うんだ」
「はい、すみません」
「自信持ってやれよ、やってることは合っている」
手術帽を脱いで髪の毛を掻き上げて、術衣を脱ぎ出した。
ぶっきらぼうで素っ気ない言い方だけれど優しいんだ。
「さっきの。どうして朝輝先生が執刀医だったんですか?」
「執刀医は波島、お前だ」
「はい、お願いします」
隼人院長じゃないの?!
「貧乏くじ、驚いた顔してんな。理由は術後に話す。お前は直接介助と器械出しをミスるなよ」
「はい」
「地味な役回りは、お前にぴったりだ」
いくら人手不足とはいえ、二人分の仕事をまた私ひとりで出来るかな?
「大丈夫よ。阿加ちゃんは普段から忘れては困ることは忘れてないから僕ら助かってるよ」
第二助手の俊介先生が、そっと励ましてくれる。
「ありがとうございます」
なにげに隼人院長の言う地味な役回りが私にはぴったりで、少しずつ緊張が解けていく。
犬の右側に執刀医の朝輝先生が立ち、執刀医の朝輝先生の向かい側の左に第一助手の隼人院長が立った。
そして朝輝先生の横に第二助手の俊介先生が立った。
「交通事故による患者の手術を始めます。お願いします」
「お願いします」
朝輝先生の挨拶で手術が始まった。
「口からの出血なしっす。肺からの喀血や消化管からの吐血は考えられないと言えます」
「了解」
落ち着き払った朝輝先生の言葉に隼人院長も俊介先生も同時に返事をする。
「酸素テントいらないですね?」
「必要ない」
私の質問に答えた隼人院長が一瞬、目を見開いたのを見逃さなかった。
「呼吸が速いけど、この子押さえたら危なそう? 胸のレントゲン撮れたら、ある程度は分かるんだよね?」
俊介先生は朝輝先生に考えさせるように指導している。
「人見先生、レントゲンいけるんじゃないっすか?」
「や、動かさないほうが良い。肺出血はないが肋骨が折れている。触れると相当痛がっている」
間髪入れずに隼人院長が会話に割って入る。
「呼吸が速く浅い、折れ方も酷い。胸を動かして呼吸すると痛がる。今、俺が言った状況すべて分かっているか?」
隼人院長は朝輝先生に質問して答えを聞くと先へ進めろと促した。
「コニーちょっとだけ辛抱してね」
麻酔で意識のない患者にも俊介先生は優しく声がけをし続ける。
今の状況で酸素を吸わせると、肺に酸素が入り過ぎた状態になってよけい酷くなる。
「過呼吸になるから酸素を吸わせないほうが良いです」
「見極めが難しいのに、よく決断したな」
隼人院長が朝輝先生を指導しつつ手術を進めていき、手術は滞りなく終了した。
「お疲れ様です、隼人院長」
「お疲れ、貧乏くじも波島みたいに成長したな、頼もしい。いつもちゃんとしてくれよな、怒鳴る方は労力を使うんだ」
「はい、すみません」
「自信持ってやれよ、やってることは合っている」
手術帽を脱いで髪の毛を掻き上げて、術衣を脱ぎ出した。
ぶっきらぼうで素っ気ない言い方だけれど優しいんだ。
「さっきの。どうして朝輝先生が執刀医だったんですか?」


