「そういう人格者だから安心して麻美菜をあずけられたんだよ」
身辺調査をしていたわけじゃないけれど、隼人院長からは女性の影が見えなくて、勉強も人材育成にも熱心で本当に動物だけに心血を注いでいたんだって。
「最初は人材育成で道永くんにあずけたんだけどさ、品行方正だしリーダーシップを発揮して全責任をかぶるような男気もあって、心が温かいからさ」
お爺ちゃんがビールで喉を潤している。
「そのうちに、つい欲が出て来ちゃったんだよ」
エヘヘへへみたいに笑っている。
「麻美菜と結婚して、ひ孫にも院長になってほしくなっちゃって。爺ちゃんの希望を叶えてくれないかねぇ」
この間ひ孫に継いでほしいって言っていたわ、このことだったんだ。
「そういえば獣医や看護師が大量に増員したのもお爺ちゃんの計らい?」
「麻美菜の人手不足解消の願いを叶えてあげたんだよ」
「そうだったのですか、理事長のおかげで我々の業務は以前より円滑に進んでおります、恐れ入ります」
隼人院長があらたまって頭を下げた。
「お爺ちゃんありがとう」
隼人院長が人手不足に悩んでいる様子だったから、お爺ちゃんに相談してみて良かった。
「ところで、二人の暮らしぶりはどうだい?」
お、お爺ちゃん知っていたの?! 一気に血の気が引いてしびれてきた。
「同居していることは理事長はご存じだ」
「あの一連のスムーズな流れは隼人院長が仕込んだんですよ。まさかお爺ちゃんもグルだったの?」
二人の顔を交互に見てみた。
「知らない知らない、爺ちゃんは知らない」
持っていたお箸を素早く箸置きに乗せ、慌てて首を横に振っている。
「お爺ちゃん嘘ついてる。血筋ね、嘘つくと同じ言葉を繰り返すところが私と一緒」
真向かいで隼人院長が顔を横に背けて、軽く息を漏らして笑った。
「こりゃまいったな、さすがスーパーナースだ。目の付けどころが違うね、敏腕刑事も真っ青だ」
「お爺ちゃんの目標達成までの強い気持ちの持続や粘り強さ、やり遂げる行動力が凄い。感心しちゃう」
「頑固なところも理事長に似たのかな?」
「それを言ったら隼人院長だって筋金入りの頑固者ですよ」
「理事長、麻美菜さんは強くなりました。わたしに対して言い返せるほどになりました」
「以前は優しすぎて、気後れして言いたいことも言えなくて心配の種だったんだよ。麻美菜の変わり様に舌を巻くよ」
「麻美菜さんの努力の賜物です。不安だったでしょうが、チームワークの良い出来上がったチームの中に入っていき受け入れてもらったのですから」
「隼人院長はじめ、チームの皆さんのおかげです」
ひと息ついて三人共自然に料理を口に運び、美味しく彩りきれいな献立に話が弾んだ。
「それでだね」
お爺ちゃんが座椅子の脇に置いていた鞄の中から、なにやらごそごそ出している。
身辺調査をしていたわけじゃないけれど、隼人院長からは女性の影が見えなくて、勉強も人材育成にも熱心で本当に動物だけに心血を注いでいたんだって。
「最初は人材育成で道永くんにあずけたんだけどさ、品行方正だしリーダーシップを発揮して全責任をかぶるような男気もあって、心が温かいからさ」
お爺ちゃんがビールで喉を潤している。
「そのうちに、つい欲が出て来ちゃったんだよ」
エヘヘへへみたいに笑っている。
「麻美菜と結婚して、ひ孫にも院長になってほしくなっちゃって。爺ちゃんの希望を叶えてくれないかねぇ」
この間ひ孫に継いでほしいって言っていたわ、このことだったんだ。
「そういえば獣医や看護師が大量に増員したのもお爺ちゃんの計らい?」
「麻美菜の人手不足解消の願いを叶えてあげたんだよ」
「そうだったのですか、理事長のおかげで我々の業務は以前より円滑に進んでおります、恐れ入ります」
隼人院長があらたまって頭を下げた。
「お爺ちゃんありがとう」
隼人院長が人手不足に悩んでいる様子だったから、お爺ちゃんに相談してみて良かった。
「ところで、二人の暮らしぶりはどうだい?」
お、お爺ちゃん知っていたの?! 一気に血の気が引いてしびれてきた。
「同居していることは理事長はご存じだ」
「あの一連のスムーズな流れは隼人院長が仕込んだんですよ。まさかお爺ちゃんもグルだったの?」
二人の顔を交互に見てみた。
「知らない知らない、爺ちゃんは知らない」
持っていたお箸を素早く箸置きに乗せ、慌てて首を横に振っている。
「お爺ちゃん嘘ついてる。血筋ね、嘘つくと同じ言葉を繰り返すところが私と一緒」
真向かいで隼人院長が顔を横に背けて、軽く息を漏らして笑った。
「こりゃまいったな、さすがスーパーナースだ。目の付けどころが違うね、敏腕刑事も真っ青だ」
「お爺ちゃんの目標達成までの強い気持ちの持続や粘り強さ、やり遂げる行動力が凄い。感心しちゃう」
「頑固なところも理事長に似たのかな?」
「それを言ったら隼人院長だって筋金入りの頑固者ですよ」
「理事長、麻美菜さんは強くなりました。わたしに対して言い返せるほどになりました」
「以前は優しすぎて、気後れして言いたいことも言えなくて心配の種だったんだよ。麻美菜の変わり様に舌を巻くよ」
「麻美菜さんの努力の賜物です。不安だったでしょうが、チームワークの良い出来上がったチームの中に入っていき受け入れてもらったのですから」
「隼人院長はじめ、チームの皆さんのおかげです」
ひと息ついて三人共自然に料理を口に運び、美味しく彩りきれいな献立に話が弾んだ。
「それでだね」
お爺ちゃんが座椅子の脇に置いていた鞄の中から、なにやらごそごそ出している。


