***
その後、申し送りで夜勤の看護師に看護を引き継いで日勤終了。
隼人院長はナナの状態を気にかけ、診察の合間や手術後の隙間時間にしょっちゅう診に行っていた。
私が帰るときも当直の先生と話し合いをしていたから、お先に失礼して帰宅した。
クリスマスは私のために一生懸命に料理をしてくれて、今日もお正月料理をみんなに振る舞ってくれた隼人院長のために夕食作りを頑張ろう。
お鍋をガス台に乗せたところでリビングに隼人院長が入って来た。
「ただいま」
「おかえりなさい、お疲れ様です。ナナの容態はいかがですか?」
「安定して落ち着いている」
「良かった。えっと、お風呂にします? お食事にします?」
「えっとって俺はナナのついでか」
また焼きもち焼いて。
「違いますよ」
「風呂が先だ」
まだなんにも出来ていないから渡りに船。その間に夕食の準備をしよう。
鞄と脱いだジャケットをソファーに置き、ネクタイを緩めた隼人院長が無防備な私を軽く抱き上げた。
「なにをするんです?!」
「羽みたいな軽さだな、一緒に風呂に入るんだよ」
「おろしてください」
嫌よ、そんなの恥ずかしくて無理。
「夕食の準備中です」
「料理は風呂から出たら俺がやる」
長年、独り暮らしだから二人分作るのも変わりはないって。
「い、嫌です、おろしてください。まだ心も準備中です」
「嘘言え、心の準備はとっくに出来ているんだろう?」
そのまま浴室まで一直線。
脱衣室ではガラス細工を扱うように優しくエプロンとワンピースを脱がせてくれる。
緊張で喉が詰まった感じで言葉が出ない私を尻目に、隼人院長は完全にリラックスムード。
「恥ずかしいなら俺に抱きつけ」
ゆっくりと抱きしめられ下着を脱がせてくれた。
「先に入ってろ」って目を閉じたまま、私の体をUターンさせた。恥ずかしかる私を思って見ないんだ。
シャワーを浴びてドキドキしながら浴槽に使っていると、湯気の向こうに隼人院長の姿がおぼろげなく見える。
見た目からして自信過剰なほどの自信家の隼人院長が、タッチレスに手をかざしシャワーを浴びると、背筋を見せつけるように髪や体を軽く洗って浴槽に入って来た。
私と同じボディソープのシトラスの爽やかな香りが隼人院長から香る。
「麻美菜?」
うしろから抱きしめられ耳元で名前を呼ばれると、持て余す長い腕にさらにギュッと抱きしめられる。
「隼人って言ってみ?」
恥ずかしがる私の気持ちを分かっていて、軽く息を漏らして笑っている。
「言わない気か」
あっという間に軽々くるりと向かい合わせにされたら、幸せそうに微笑む優しい瞳と目が合った。
「キスって唇にしたらダメなのか? それとも全身か?」
左胸に私を抱き寄せ、首すじに舌を這わせ右手の指先は循環器内科らしく器用に羽のように私に触れてくる。
ソフトタッチで撫でられるから眠くなる。この気持ち良さを感じているって言うの? 初めて経験する感覚に戸惑いを隠せない。
「全身に」
「してほしいのか」
「違いま......す、ダメ......」
「言ってみ?」
「隼人院」
「院長はダメだろ、呼び捨ては? キスするぞ」
なんか分からない感情、ダメ。思わず首を横に振る。
「うっとりすんなよ、耳まで紅く染めて。麻美菜がのぼせ上がったら大変だ」
そういうと浴槽から私を立たせて、洗い場では頭の先から爪の先まで、すみずみまで優しく洗ってくれた。
その後、申し送りで夜勤の看護師に看護を引き継いで日勤終了。
隼人院長はナナの状態を気にかけ、診察の合間や手術後の隙間時間にしょっちゅう診に行っていた。
私が帰るときも当直の先生と話し合いをしていたから、お先に失礼して帰宅した。
クリスマスは私のために一生懸命に料理をしてくれて、今日もお正月料理をみんなに振る舞ってくれた隼人院長のために夕食作りを頑張ろう。
お鍋をガス台に乗せたところでリビングに隼人院長が入って来た。
「ただいま」
「おかえりなさい、お疲れ様です。ナナの容態はいかがですか?」
「安定して落ち着いている」
「良かった。えっと、お風呂にします? お食事にします?」
「えっとって俺はナナのついでか」
また焼きもち焼いて。
「違いますよ」
「風呂が先だ」
まだなんにも出来ていないから渡りに船。その間に夕食の準備をしよう。
鞄と脱いだジャケットをソファーに置き、ネクタイを緩めた隼人院長が無防備な私を軽く抱き上げた。
「なにをするんです?!」
「羽みたいな軽さだな、一緒に風呂に入るんだよ」
「おろしてください」
嫌よ、そんなの恥ずかしくて無理。
「夕食の準備中です」
「料理は風呂から出たら俺がやる」
長年、独り暮らしだから二人分作るのも変わりはないって。
「い、嫌です、おろしてください。まだ心も準備中です」
「嘘言え、心の準備はとっくに出来ているんだろう?」
そのまま浴室まで一直線。
脱衣室ではガラス細工を扱うように優しくエプロンとワンピースを脱がせてくれる。
緊張で喉が詰まった感じで言葉が出ない私を尻目に、隼人院長は完全にリラックスムード。
「恥ずかしいなら俺に抱きつけ」
ゆっくりと抱きしめられ下着を脱がせてくれた。
「先に入ってろ」って目を閉じたまま、私の体をUターンさせた。恥ずかしかる私を思って見ないんだ。
シャワーを浴びてドキドキしながら浴槽に使っていると、湯気の向こうに隼人院長の姿がおぼろげなく見える。
見た目からして自信過剰なほどの自信家の隼人院長が、タッチレスに手をかざしシャワーを浴びると、背筋を見せつけるように髪や体を軽く洗って浴槽に入って来た。
私と同じボディソープのシトラスの爽やかな香りが隼人院長から香る。
「麻美菜?」
うしろから抱きしめられ耳元で名前を呼ばれると、持て余す長い腕にさらにギュッと抱きしめられる。
「隼人って言ってみ?」
恥ずかしがる私の気持ちを分かっていて、軽く息を漏らして笑っている。
「言わない気か」
あっという間に軽々くるりと向かい合わせにされたら、幸せそうに微笑む優しい瞳と目が合った。
「キスって唇にしたらダメなのか? それとも全身か?」
左胸に私を抱き寄せ、首すじに舌を這わせ右手の指先は循環器内科らしく器用に羽のように私に触れてくる。
ソフトタッチで撫でられるから眠くなる。この気持ち良さを感じているって言うの? 初めて経験する感覚に戸惑いを隠せない。
「全身に」
「してほしいのか」
「違いま......す、ダメ......」
「言ってみ?」
「隼人院」
「院長はダメだろ、呼び捨ては? キスするぞ」
なんか分からない感情、ダメ。思わず首を横に振る。
「うっとりすんなよ、耳まで紅く染めて。麻美菜がのぼせ上がったら大変だ」
そういうと浴槽から私を立たせて、洗い場では頭の先から爪の先まで、すみずみまで優しく洗ってくれた。


