それから、ハレルヤの常連さんの顔も覚えてきて顔見知りになった頃、風太も手伝いに復帰した。
平日は仕事、土曜日はハレルヤで勉強とお手伝いをする。
そして日曜日は風太と出かけたり遊んだりする。
一人のときは買い物へ行ったり、美術館などへも出かけて行く。
それが私の日常のサイクルになりつつあった。

その土曜日もいつも通りにハレルヤで過ごし、閉店後の店内でまったりと過ごしていた。
厨房では風太がハレルヤの看板メニューであるオムライスを作ろうと奮闘している。
「健吾さん、風太が何でオムライスを?」
私の軽い疑問に対して、ふふっと笑いながら健吾さんは教えてくれる。
「葵ちゃんがいつも美味しい美味しいって食べてくれるから、自分も作れるようになりたいんだとさ」
できたてのオムライスを味見しながら風太が慌てて出てくる。
「何で言うんだよ!秘密だって言っただろ」
「ん?タイミングいいなぁ風太」
ニヤニヤとする健吾さん。
「私の居るところで練習していたら意味なくない?」
我ながら良いツッコミをする私。
「あーもー、何でもいいよ。美味しくできたら一番に食べてよ。葵さん!」
3人で笑った。
この他愛ない時間がいつまでも続けばいいと思った。