鷹臣くんは盗みたい



男の子を確認したくて、立ち上がろうとしたとき


マイクを通した運転手の声が、バスの中に響いた。



「ご乗車、ありがとうございました。
 星城(せいじょう)高校前です」




うわっ、バスが高校に着いちゃったし!


泣いてるこの子、どうするんだよ!





とりあえず、カバンを手に立ち上がる。


後ろの席から、男の子を確認。



やっぱり、幼稚園の年長くらいじゃん。

こんな小さいのに、一人でバスに乗ったわけ?


親はどうした?





う~ん、どうしよう……



俺が何とかしてやりたいけど

高校に遅れるわけにもいかない。



今日の入学式、新入生代表で

壇上に上がらなきゃいけないし。



でもさ

泣いているこの子を放っては、おけないよなぁ……