鷹臣くんは盗みたい



もうすぐバスが高校に着く。



音楽プレーヤーとイヤホンを、カバンにしまい

ぼーっと窓の外を眺めていた時

消えそうなほど弱々しい声が、俺の耳に届いた。




「降りるバス停……

 わかんない……」






俺の前の席から?

確か、男の子が乗ってたよな?

幼稚園の年長か小1くらいの。




「僕……どうしよう……」


明らかに泣いてる声。


鼻をすする音まで俺の耳に届き、心配になる。