鷹臣くんは盗みたい



「海堂君、サッカー部の部室かなぁ?
 私、聞きに行ってくるね」



俺に微笑むことなく、教室を飛び出していった美月。


置き去りにされた俺の胸は

現実を受け止めきれなくて

ギューギューと痛みだす。







あ~あ。

終わっちゃった、俺の初恋。


美月のこと、本気で好きだったんだけどなぁ。




楽しい時に、思いっきり笑うところも



悲しんでいる友達がいたら

授業を放り出してまで

付き合って話を聞いてあげるところも。




出会ったあの時も

この俺が恋に落ちるほど

衝撃的なおせっかいをしてたっけ。





俺は窓の外の雲を見つめ

出会った入学式の朝を思い出す。