「……わからなかったの? ランスロットは、確かに氷の騎士とは呼ばれてはいるけど……確かに口を出し過ぎたわ。誰と付き合うかは、ディアーヌが選ぶことだもの。別に次に付き合うのが、ランスロットでなければいけないこともないんだから。他の第三の男が居ても私は不思議には思わないけど」

「第三の男……」

 完全に面白がっている表情になったラウィーニアは、ふふっと花が咲いたような笑顔になった。

「冗談よ。もしそうだったら、また困っちゃうかもと思っただけ。羨ましいわ。私は、コンスタンスと幼い頃からずーっと一緒で結婚まで。彼の身分を考えれば、どちらかが死ぬまでは絶対に別れることもないのよ。いろんな人と付き合えば良いでしょう。きっと、それぞれ違った恋になるわ」

「……私は一人だけが、良かった」

 初めての失恋で受けた痛みは、ひどいものだった。幼い頃から好きな人とずっと一緒に居れれば、どんなに良いんだろう。ラウィーニアは私をただ慰めてくれているとわかっていても、切ない思いは消せない。

「その答えが出るのは……きっと、人生が終わる時よ。どこかのバカの事はもう忘れて。次の恋は良い恋にすれば良いでしょう」