彼のような表情の動き難い人たちが、集う晩餐。どんな風に会話が進行するんだろうと、思わず頭の中で想像してしまった。

「あの……家族構成を、お聞きしても?」

「父母と、兄が三人居ます。下には妹が」

 私が持つ頼りにならない知識によるとグラディス侯爵家は、建国からずっとこの国に仕えている王都近郊に大きな領地を与えられた由緒ある家柄だ。彼の長兄にあたると思われる、若きグラディス侯爵はついこの間家を継がれたと噂話に聞いた気がする。

 けれど、僭越ながら乙女を代表して私の興味はそこにはなかった。彼の上にも、こんな美形の兄が三人も……? とても気になる。

「お兄様が、三人も居るんですね」

「……ええ。全員既婚者ですが」

 きっと性格が真面目なんだろうランスロットは、彼にとっては意図のわかり難いだろう私の質問にもきちんと答えて頷いた。

 そして、二人ともなんとも言えない顔で、視線を合わせる。銀色の長い睫毛に烟る、水色の目が美しい。

 ランスロットの表情はすごくわかり難いだけで、こうして間近と言える程にまで近くで見ると、彼が今どういう気持ちなのかがわかるような気もする。