破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜

 思い返せばラウィーニアがこの前に言っていた事はかなり的を射ていたし、なんなら別れてしまった今、確かに悲しいは悲しいけれど、もう自分の中にある色々な気持ちを誤魔化して気を使わなくて良いんだとほっとしている自分も居る。

「こうして、二人で話してみて……想像だけの時より、より良いと感じました。貴女は、本当に素敵な女性です。ディアーヌ嬢」

 ランスロットの言っている言葉自体は凄く嬉しいし、普通ならとてもとても甘く感じるはずだ。けれど、彼の淡々とした喋り口と無表情のせいで、全部台無しになっている。

 どうか普段通りの私なら絶対しない事であると信じて欲しいんだけど、今は失恋の痛みに少しおかしくなっている自覚があった。

 私はおもむろに腕を上げて、彼の整った顔にある両頬を摘んだ。それは、もちろん生きているから柔らかいし、彫像のような造作だとしても動かない訳でもない。

 そして、何度かむにむにと摘んだところで、特に反応せずにされるがままになっているランスロットに気がついた。