破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜

「あの頃の僕たちは……結局は、何も考えていなかったんです。若く無鉄砲だった僕と、婚約者から逃げたかっただけのグウィネス。何度か、彼女に言った事があるんです。逃げ回るのではなく、腹を割って話し合った方が良いのではないかと。彼女は、一族には絶対にわかって貰えないの一点張りで。あの男が来た時に、僕は全てを捨てて海を渡り追いかけてくることの出来ない遠くへ逃げようと言いました。だけど、グウィネスはそれを嫌がった。彼女との事を思い出そうとすれば、何もかもを拒否されたという事実が頭を占めるんです。自分は……最後に、彼女には求められてはいなかったと」

 すべてを捨てて覚悟を決めて逃げようと言ったけれど、彼女はそれを喜ばなかったとしたら……その恋は終わったとしても、仕方ないことなのかもしれない。

「そうして、グウィネスは大人しくあの人と東の地ソゼクに帰ってしまうこととなり……二人は別れたのね」

「……僕はその頃には、若く何の力も立場もなく無力でした。だからこそ、次こそは何があっても、愛する人を守り通せるように強くなりたいと思った……ある意味では、当時に勝てなかったあの男に感謝もしています」