この人が自分の恋のライバルだと思うと、胸が苦しくなってしまうのも仕方がないと思う。恋愛という戦場で外見が良いというのはかなり有利だし。

 いつもより気合いを入れて着飾って来た自分だって決して彼女に負けてはいないとは思いたいけど、異性の容姿の好みは人それぞれ。ランスロットが、一番だと言ってくれれれば嬉しいけど。

「……お招き、どうもありがとうございます」

 そう感謝の言葉を口にしたグウィネスは、いかにも先ほど習ったばかりと言った様子のぎこちない礼を以て私たちに応じた。

「どうぞ、楽にして。晩餐の前に、少し歓談でもしよう……」

 そう言ったコンスタンス様は、部屋の隅に控えていた何人かの楽器を抱えた楽師たちに目で合図をした。

 優雅に奏でられる、弦楽器の柔らかな音が重なる。広い晩餐室の中で私たちは思い思いの位置へと移動して、話し始めた。

 王太子の直属の部下に当たる筆頭騎士の一人であるランスロットは、彼の護衛も兼ねているのだろう。黙ったまま動かずに、コンスタンス様の傍近くに控えている。無表情な彼の元へと足早に移動したグウィネスは、待ってましたとばかりに彼と何かを話し始めた。